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「それでは3番目の議題に移ります。本日の議題の資料のように、印刷を効率化して各部署などからの通達などを配布しやすいようにしていくことを提案します。ここに実際の判を持って参りました。このように土台に文字パーツをはめ込んで文書を作るのと、枠用にも同様に判を用意しています。それぞれを組み合わせると表も作成可能です。もちろん、文字のみでの文書作成でも良いですし、何かの申請書のフォーマットとして表を作成するというのも効率的かと。印刷部数が多いほど、判を組めさえすれば手書きよりも速く文書を作成できます。今回30部印刷致しました。手書きだと45分程度かかるのが、30分で作成できました。部数が少ないとあまり時間的な差はありませんが、これが100部などの大量印刷ならばかなりの時間短縮です。寄付納税のパンフレットやお礼状、パーティーなどの招待状、申請書などのフォーマットなど、大量印刷は今後必要です。これの運用がうまく行けば、お店のチラシなど広く利用できるでしょう。印刷屋を作るか、はんこ屋が担いチラシやパンフレット、ポスターを国内からの受注にも対応していくようにすればゴールドガーデンの更なる発展に繋がるかと。皆様いかがでしょうか。」
マリー殿が挙手する。
「これは良いものが発案されたと思います。判では何か変更点があると作り直しが必要でしたが、これなら修正もしやすく、一式揃えれば様々な判に組み替えられるという点が良いです。判を掘るよりも速く、手書きよりも綺麗に文書を作成できるのは大変便利です。判のセットを販売するのではなく、印刷業として受注を受ける方式というのも、今後の継続的な顧客獲得も出来て良いですね。ゆくゆくはお茶会などの招待状レベルの枚数は少なくとも『美しく仕上げる』という点を武器に出来るような紙質や色などのデザインにもこだわると、かなりの需要があるのではないかと思います。」
マリー殿の意見は女性ならではなところもあり、私はそういった需要もあるのかと目から鱗であった。
「なるほど。美しい招待状というのは確かに貴族を中心に需要があるでしょう。お茶会のみならず、パーティや結婚式などでも。是非女性的な視点からも印刷業を発展させていけたら良いですね。ではこれは工業推進局で仔細を取りまとめて、はんこ屋とも相談していくこととしましょう。皆様に披露できて良かったです。」
そして次は報告事項へ移る。
「資料をご覧頂きまして、報告事項へ移ります。まずはエドワード殿の療養の件です。今回このような事態になってしまいましたことを改めてお詫び申し上げます。私の不注意のために申し訳ありませんでした。」
深々と頭を下げると、皆首を振って微笑んでいる。




