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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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朝食後、執務室で会議準備をしていると、はんこ屋から届け物が来た。


問題用紙や回答用紙を作成するにあたって、以前検討した印刷のための組替え判とでも言うか、文字を並べ替えたり、枠のパーツを並べ替えてカスタマイズするようなもののサンプルが届いたのだ。


はんこ屋は小さな判しか取り扱っていない。

たまに店のロゴなどの注文で少し大きなものを作成するくらいだそう。


板に穴を開けて、その穴にはまる突起付きのゴム判のパーツを作り、穴にはめて裏側から留め具で固定する方式だ。

はじめの試作品は留め具のないもので、うまく返せず、押す前にバラバラと数個落ちてしまった。

その反省を活かして、留め具で固定する作戦を練った。

留め具も簡易性を考え、小さな輪ゴムを掛けるようにした。


これも会議で広布文書作成の手段として検討しよう。


相変わらず文字判と枠判と2つ組んで、2つ押して完成する方式なのだが、これは改善が難しい。


ゴム印も手彫りから鋳型のようなものを作って、ゴムを流し込み型取りして土台パーツと合わせる方式としたため、文字パーツは大量生産や追加生産しやすい。


この判が上手く運用できれば、国内へ流通させてゴールドガーデンの工芸品として売り出していける。

土台パーツも木製や象牙、べっ甲、螺鈿など様々な素材と組み合わせて装飾すれば、実用性だけでなく芸術性も高まる。


一般に流通させる際は安定的な装飾技術を確立し、まずは王家に献上し有用性を認めて頂こう。

今は改良を重ね、より使いやすいものを作るのだ。


装飾も実用性を損ねないよう、華美になりすぎず、重くなりすぎず、というところか。


議事録を早速判で組んでみるか。

議事録は間に合わないか。

議題のみリストアップしたものを組んでみよう。


左右反対のパーツを左右反対に並べるのが慣れていないと難しい。

まずは机に並べ、綺麗に整列したところで土台を上から乗せるようにしてパーツの突起を土台の穴に通してみた。

スッとははまらないが、グッと押し込むことではまり、そのまま上から固定ゴムを留める。


1つ目の試作品では、1つずつ土台にパーツをはめていったが、ひっくり返すとパーツが落ちたため、はじめから並べてまとめてはめる方法を取った。


パーツを並べるのに外枠があると綺麗に整列し土台にはめやすいのではないかと思う。


あとは文字パーツは突起側からも何の文字なのかわかると、並べながらミスがないかチェックできて良いと思う。

そのくらいか。


枠も作り、枠判を押して、文字判を押すと、版画のように1つにまとまった。


内容は


会議議題

一、公務員採用試験最終確認

一、各部署名称決定

一、印刷試作品確認

報告事項

一、エドワード殿の療養について

一、ハーブ園の運用について


手書きよりも見やすく、判さえできれば紙に押すだけで大量生産が可能だ。

まとめて30枚押してみたが、判を組むところから考えると約30分(20分で判を組み、10分で押した)で30枚刷ることができた。

手書きで30枚書くのに45分近くかかる上に、書く人の字のくせによっては読みづらい。

これなら読みにくさはない。

30枚と枚数が少ないせいであまり差が無いようにも思うが、100枚単位ならばかなりの時間差となる。


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