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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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私が領主となってから行なったことは、まずは農地と収穫量の把握だ。

どの地域でどのような作物が採れ、1区画あたりの収穫量を計算させた。

それにより農民からの税収を地域ごとに分けて納めることとした。肥沃な地域では高級品種・高品質なものが豊富に収穫できるため収入も高い。労働人口も多いため、ある程度の税収が見込めた。

反対に、不毛な土地では作物も自給分程度。労働者の食い扶持を確保するので精一杯だった。

そんなところから税収を強制すると民が餓える。そして争う。

まずは土壌改善と治水に力を入れ、その土に合う作物を模索した。そして営農可能な作物の栽培を推奨。

同時に、養蚕や機織りなどの技術を定着させ、それによる収益を上げさせるようにした。

作物は芋が何とか成果を出した。芋なら連作もできるため、安定的な収穫が見込める。

加工品部門も、水路の整備や植林で治水もうまくいっているため様々な技術部門が集まり、機織りのみならず染物や、工芸品も発展しそうな様子だ。

お陰で都市部も辺境も人口が偏ることなく地域ごとの特産物が発展しつつある。


農林部門の責任者によると、

「民が飢えから解放され、生活が豊かになりつつあります。まだここ数ヶ月だけでの判断はできませんが、来年からはどの地域でも安定した税収を確保できそうです。」

と、嬉しそうだ。

税務部門の責任者からも、

「オズワルド様が搾取していた税の蓄えが当面1年分は賄えるほどにはあります。本来は民に還元すべきでしょうが、今減免しているのはそれがあってこそであるため、民も納得してくれるでしょう。豊作な地方からはいくらか納税があるためこのまま全体の様子を見ながら税率は決めていきましょう。」

となんとかなるという太鼓判があるから大丈夫だろう。

工業部門の責任者からは、

「今後は養蚕と機織り、染物の発展による輸出を進めて参ります。この他の加工細工技術も技術者がまとまってそれぞれの集落を形成してきていますので、更に技術の精度も上がり、高品質な物作りが可能になると思われます。いずれの加工品もゴールドランドの特産として今後よそへ輸出していくことができればというところです。」

土木部門の責任者からは、

「水路の整備がようやく終わりました。これからの流通のことを考えると各方面との行き来が楽になれば更に工業や農業も盛んになるかと。つきましては道路整備を行います。クレア様が農地の区画を整備してくださったお陰で、道路もかなり整ったものになる見込みです。」

それぞれの報告を聞き、私は安心した。

全てうまくいっている。

私は次のステップを目指して皆へ伝える。


「領地の経営という点では成果を上げられているようですね。これで民が餓えることがなくなるよう祈るばかりです。次に私は『法』を整備したいのです。今までは村長や各部門責任者や領主の采配で物事を裁いていたと思います。しかし、それでは公平な審判はできません。立場の上のものがのさばってしまってはいけないですし、皆が平等に幸せに生活できるというのが私の目指す国の在り方だと思います。まずは我がゴールドランドが先駆けとなるよう、きちんと法を整備していけたらと思うのですが、いかがでしょうか?」


皆が沈黙している。貴族はどうしても裁かれないのだ。今までは。

不正があっても揉み消し、罰は農民などにのみ。それもありったけの財産没収などである。

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