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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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やはりオリバー殿は私を責めない。逆に気遣わせてしまう。

それが更に申し訳ない気持ちになってしまう。

だがもう泣かないと決めた。

押しつぶされそうな罪悪感を抱えつつ、今はテッドのことを救う手段を考えたい。

そう思いを逡巡させていると、


「あなたもテッドと同じです。「自分のせいで」と自分を責める。似た者同士ですな。お互いを尊重し、支え合うからこそ、お互いを傷つけてしまいもするのですね。支え合うからこそ片方がバランスを崩すと、共に倒れてしまうのです。今はまだお互いのバランスが保てていないのかもしれません。クレア様がテッドが寄りかかっても立っていられるくらいに持ち直すまではそっとしておいても良いかと思います。思いますが、挨拶程度に顔見せくらいはぜひしていただけるとあいつも少しは安心するやもしれませんね。」


「では見舞いを承諾していただけるのですか?」


そう確認すると、深く頷いてくださった。


「クレア様のご無事をしっかりと確認できると少しは違うでしょう。朝食を届ける際に、あとでクレア様がご挨拶に来てくださるとお伝えいたします。ですので食後にご一緒に行ってみましょう。」


オリバー殿は笑顔でテッドの見舞いをご承諾くださった。

会うのはたったの3日程度ぶりであっても、緊張する。


一言目に何と声をかけようか。

私が変に謝ってしまってはテッドは更に自分を責めるのだろう。


まずは朝食をオリバー殿と摂ることにした。

採用試験に向けて準備の進捗状況を確認すると、問題なく進められていた。

試験当日までのカウントダウンは残り17日。


問題用紙などを大量生産できればもっと捗るのだが、と頭を抱える。

判は出来ており、あとは押すだけ。

しかし、判は問題用紙のみ完成していて、回答用紙や面接用紙の分はまだだ。


どうにか捗る方法を検討せねば。

採用試験に限らず、大量生産が可能になれば、ふれなどを出す際もより早く、より多くの人々に知らせを出すことができる。


今後ぜひ発展させたい。


2人で相談し、出た意見は、枠の判と文字の判は別にし、枠を押した上から文字を押す。

枠も線のパーツを土台にはめ込んで作りたい枠を作れるようにする。土台から外せばまた新たな枠組みを作ることができる。

文字判もそうだ。文字パーツを大量に作り、土台にはめ込んでいけば良い。再使用可能であり、無駄が出ない。足りない文字パーツを作るだけで良いため、製作も素早く出来る。

ただ、押す作業はどうするか。

どうにか機械化できないだろうか。


そんなことをオリバー殿と相談した。

この印刷技術の進歩があれば、国からの文書配布もスムーズになり、商業でも広告や説明書の作成や配布も今までより楽になるため、かなり需要があるはず。

判を作ることよりも、いかに効率的に押せるか。

機械の技術関係の方とも相談してみるということでまとまった。


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