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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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2人でお茶を楽しみながら、緊張を解いていく。

エレナのお陰で緊張がどんどん解れ、リラックスできる。


「クレア様、ゴールドガーデンに着いたら早速お庭を拝見したいです。それで、私もハーブ園を庭の一角に作りたいのです。時期によって様々なハーブを収穫し、乾燥させておけば一年中好きなお茶を楽しめますもの。それに、ハーブってとても可愛らしくて美しいのですよ。目でも楽しめるなんて素敵でしょう?」


エレナは仕事熱心だ。

私にお茶を教えてくれる約束を忘れず、そういう提案をしてくれたのだろう。


「そうね、私も庭いじりは好きなので、是非ご一緒させて頂きたいわ。楽しみね。」


そう言うと、満面の笑みで頷く。


「ハーブって特別な響きですよね。薬のような、大切な感じが。でも実はいわゆるただの雑草なんですよ。なので殆どのハーブはかなり強いです。生命力も、繁殖力も。私はハーブのような人間になりたいなんて思うほどハーブが好きです。強く、優しく、美しく、気高く。」


本でもハーブは雑草であるとたしかに書かれていた。

しかし、効果や効能のあるものばかりで、エレナの言う通り薬のように貴重なもののようにも感じる。

雑草ゆえに強い生命力と繁殖力を持ち、育てやすい。

その花も葉も活用できる上に、見た目も美しいものや可憐なものも多いのも事実。


「エレナはハーブのようですよ。既に。人を癒し、強い意志と誇りを持ち、何事も懸命に努力するところとか。周りの雰囲気を明るくしたり、その良い空気をもってどんどん相手の懐にも潜り込んで行けるところとか。流石に乾燥させていつでも楽しめるわけではありませんが、お手紙ですとか、エレナの名残だけでも感じられれば元気をもらえますもの。」


「お褒めにあずかり光栄です。乾燥してミイラになったら完全クリアですわね!」


途中冗談を交えつつ楽しく過ごし、昼食の時間となった。


「エレナ、一緒に食べましょう?私1人では食べきれないわ。」


大皿にサンドウィッチやサラダ、フルーツなどが盛られ、取り分けて食べるようになっていたが、毎食私1人で食べきれる量ではないのだ。


「私どもはいつも残りをいただいておりました。食べかけではなく取り分けた後の大皿に残ったものを。あまり残らないようなメニューの時は別に用意されますが。どうせ残るようでしたらここでありがたくいただきます。」


いつも残りを食べていたなんて知らなかった。

エレナだってお嬢様で、残り物を食べるなんて生活ではないと思っていたのでかなり意外だった。

それを察したようで、エレナは説明してくれた。


「身分や立場というものを学ぶのも奉公の目的の1つでもありますから。父は成り上がりの商家の娘が、勘違いして成長するのを恐れているのでしょう。私たちはあくまで庶民なのです。王都や王城には貴族や王族がたくさんいらっしゃいますから。自分の身分や立場をわきまえるということをきちんと学ばせていただいているのです。別に虐げられているとか、蔑まれての残飯処理というわけではありませんよ。残り物とはいえ、そもそもの食事が豪華ですから!」


なるほど。エレナの父上はかなりしっかりと娘の教育を考えていらっしゃるようだ。

ただ学問やマナーを学ぶだけではなく、裕福なのにあえて城へ上げて縦社会も学んだり、実際に労働を経験させてみるなんて。


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