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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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6


辺りが静まり返る。


「マーティン殿下、お戯れを。私はエドワード様と婚約致しますので本日パーティーを開催させて頂いたのですよ?」


こんな笑えない冗談を言って私を試しているのかしら?

返答次第では領地返上まであり得るか?


「いや、そなたはおそらく国で1番美しい。そして、その心が見えぬ。その胸の奥に秘めるものが何か、今まで何を見て感じてきたのか全く読めぬ。こんなことははじめてだ。

婚約パーティーと言ってもまだ正式に婚約はしておらぬと聞いている。

私との未来も考えてはくれないか?」


何が目的だ?確かに正式な婚約はしていない。

1年後に最終決定を下すということになっている。

ここで了承すれば節操のない女だと思われるだろう。

しかし、ここで拒絶しては王太子殿下に恥をかかせてしまう。

どう答えるのが正しい?

戸惑っていると、王太子殿下は笑って

「すまぬ。困らせるつもりは無かったのだが、クレア。そなたのことをもっと知りたい。今すぐ返事をせずとも良い。エドワード卿、すまなかった。しかし私も適当に誑かしているわけではない。

本気でクレアを欲しいと思っている。

こんなことは初めてなのだ。自分でもよくわからぬのだ。それでは、邪魔したな。またそのうち会えるだろう。」




そしてパーティーは終わった。


エドワード様はあれからずっと無言で、パーティーの後も挨拶しかしていない。

私ももやもやとした何かが離れない。



私はどうしたいのだろう。

この地のために身を捧げると誓った。

どちらがこの地のためになるのだろう。

エドワード様と結婚したらきっとこのままここで暮らせるだろう。しかし、王太子殿下の顔に泥を塗ってこのまま平穏に過ごせるのか?王家を敵に回してしまうのではないか?エドワード様は穏やかで優しい。きっと幸せになれるだろう。

王太子殿下と結婚したら?

この地には居られないだろう。王都へ行くこととなるだろう。しかし私は今まで手に入らなかったものを手に入れると自分に誓った。失うものもあるが、手にするものも大きい。王家とこの地が繋がれるのだ。私にも、ゴールドガーデンにもメリットがある。


この地で安寧に過ごすのか、地位と名誉を手に入れるのか。

いや、今答えを出さなくとも良いと言っていたではないか。


まずは私のすべきことを尽力していく。

手近なことからこなしていこう。

婚姻なんてその後だ。


猶予は1年。

領主として認めてもらうことが第1だ。

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