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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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「何でも?」


大男は私に聞く。


「ええ、だからお願いです。どうかその人を解放してください。」


吠えるように笑い、そして言った。


「じゃあ服を脱げ。」


服を脱げだなんて、と思いつつ、それで気が済むのなら安いものだ。


「わかりました。」


ドレスを脱ぐ。下着姿で大男を睨みつける。

しかし、下着姿で睨んだとて、相手には痛くも痒くも無い。


「肌着や下着も脱げ。」


言われた通りに脱ぐ。

全裸になり、恥も何もかき捨て、大男を正面から睨みつける。


「脱ぎましたけど。テッドを解放してください。」


大男は愉快そうに笑う。


「だってよ。お前は自由だ。出て行って良いぞ。ここに残って俺の遊び相手になっても良いが。どうすんだ?」


テッドは怯えるように泣きながら、動くのもやっとな動作で立ち上がった。


「クレア…すまない…」


そう言って外へ出た。


「アイツ逃げたぞ。お前を置いてな。この状況ならお前がどうなるか…予想できるよな。男なら尚更。逃げたぞ?婚約者を見捨てて。ひゃははは!」


涙を堪えて大男と対峙する。


「お前はどうするんだ?そんな格好で、何をする?」


私へ問いかける奴の楽しそうな顔に吐き気が襲う。


「何も。脱げと言われたから脱いだまで。解放してくださってありがとうございます。私に行動の決定権を与えてくださるのですね。私は寒いので服を着ます。」


そう言って服を着る。

大男はそれ以上何も言わずにただ私の行動を見ている。


「お前面白いな。だが、このままここで無事に暮らせるかわからんぞ。俺は紳士だからな。下衆な奴が見張りならお前は無事では済まない。せいぜい賢く立ち回るんだな。」


そう言うとパンと水を置いて出て行こうとした。


が、外から1人の人影が入ってきた。

まさか奴らの仲間が?と不安になる。

顔は帽子と布で隠しており、見えない。


「お前誰だ?」


大男がニヤニヤと問う。

と言うことは奴らの仲間では無い。

助けに来てくれたのか?


「クレアを助けに来た。お前は捕らえる。」


そう言うと大男と乱闘を始め、テッドのようになるのでは無いかと恐怖が襲う。


しかし、その人は強かった。

大男と互角に戦っている。

お互い血まみれだが、やや大男の劣勢のように見える。


足枷の解錠を試み、数回試すと外れた。


同時に、大男は倒れ、私が付けていた足枷を腕にはめて拘束した。


「クレア!逃げるぞ!」


そう言って手を引いて走り出す。

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