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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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殿下へお時間を頂けそうなお日にちを相談すべく、計画をお伝えすると、1週間後にお越しになられるとお返事を頂いた。

大急ぎで茶葉や茶菓子を試作し、部屋などを整えるとあっという間に1週間が過ぎてしまった。


この1週間の間の変化だが、「あと何日」は今までは準備のリミットでしかなかったのに、今回は殿下への気持ちというのを意識しすぎているのかカウントする時は何だか嬉しいような楽しみのような気持ちがして、早く当日を迎えたい気持ちがあることに気づいた。


昼過ぎに殿下がご到着なさり、早速お茶やら何やらの当初の殿下へお伝えしていた目的を果たした。

お話中も殿下のご尊顔を拝見するだけでドキドキして顔があつくなるような気がしたが、必死にプレゼンに集中した。

終わってからはのんびりと2人でお茶を楽しむこととなり、私は意を決して殿下に今までの考察をお伝えすることにした。


「殿下、お伝えしたいことがございます。」


殿下は優しく微笑みながら私の報告を待ってくださる。


「実はどうも私は殿下のことをお慕いしているようなのです。」


お茶を吹き出しそうになられ、堪えるとむせていらっしゃる。


「大丈夫ですか?報告を続けますね。正直に申し上げますとまだ私の中でも恋愛感情というのがよくわからないのです。でも間違いなく私の中に他の殿方には抱かない感情が殿下に対してはあるのです。今も殿下と目が合うだけでなぜだか心拍数が上がり、顔がチクチクと焼けるようにあついと感じております。これは私が殿下を殿方としてお慕いしているということに他ならないと皆からの指摘を受けました。殿下はどのように思われますか?」


私の考察に対しての答え合わせのつもりで聞いてみたのだが、殿下は破顔していたと思ったら、光の速さで私の目の前に来ていつの間にか抱きしめられていた。


「クレア…それはきっと私と同じ気持ちを持ってくれているということだと私も思いたい。今日そなたに会えるのをずっと楽しみに待っていた。すぐにでも会いに行きたいと思っていた。こんな…こんな日が来るなんて、こんな日になるなんて…私は嬉しくて幸せで戸惑っている。これは夢か?」


強く抱きしめる殿下の背中を、私も抱きしめてみる。

お互いに無言でもそれだけでなぜか満たされる気持ちになった。

殿下の心臓が、私の心臓が、重なり合うように鳴り響いているのを感じる。

このまま時が止まってくれたら良いのにと思うような心地良さに切なくなる。


「殿下、今確信しました。やはり私は皆の言うように殿下のことを『好き』なようです。お慕い申し上げます。」


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