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休み時間にダンと、お友達のフレッド、ソフィー、アリアとお話しをした。
「クレア様、お姫様になるんですよね!私本物のお姫様に会っているなんてって嬉しくて、ママにも自慢しているの!」
そう言うのはソフィー。
目をキラキラと輝かせている。
が、事実では無いことを期待されても困る。
「よくわからないけど、私は伯爵であってお姫様では無いわ。だから事実では無いわね。ママもきっとよくわからない話しだと困ってしまうわ。」
「違いますよ。クレア様は未来のお妃様になられるとみんなが話しています。ですからソフィーはクレア様をお姫様と思っているんです。みんなそう思っていますからソフィーのママも困っていませんよ。」
フレッドがそう言うと、みんながうんうんと頷く。
「クレア様は王子様のことを愛していらっしゃるのですか?お伽話の王子様とお姫様が現実にいるようで、考えるだけでもうっとりしてしまいます。」
アリアまでもがそんなことを言うものだから、子どもの言うことにどうしたものかと困ってダンを見ると、ダンはじっと私のことを見つめてからこう言った。
「姉様は愛とか恋とかをわからないとお考えでしょう?ですが、傍目からは殿下のことを見つめる目も、その逆も、完全に想い合う2人という正にそれですよ。それなのに本人は気づいていないのですからね。」
ダンの爆弾発言に他の3人+聞き耳を立てていたであろう先生までもが悲鳴を上げるように叫んでいる。
「やっぱりそうなのね!」
などの興奮したみんなの声が入り乱れ、しかしそれ以上に私は混乱している。
「ダン、あなたはなぜそう感じているの?」
ダンはふふっと微笑んで応える。
「姉様は表向きの社交での対応の際はとても綺麗に笑っておられます。話す方のお顔をきちんと見つつも、失礼の無いように時々視線を外したりと気を配られているのを感じます。私たちと過ごす時は破顔しています。飾らず自然に振る舞っていらっしゃいます。殿下との時は、破顔どころか少し頬や耳が赤らむのですよ。あとは視線です。殿下と居る時はいつも殿下のお顔やどこかおからだを見ていらっしゃるのか、視界から殿下が外れることは有りませんよ。わざとか無意識かはじめは判断しかねましたが、先日のパーティーの時に確信しました。姉様はお気付きでなかったのですね。」
そんな癖?があったことは驚いた。
知らなかったし気づかなかったし、完全に無意識だ。
「自分でも気づけないことをよく気付くのね。すごいわ。でもそれが私が殿下をお慕いしているということになるの?ちょっと短絡的ではないかしら?」




