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これは羞恥心か。
それらを想像して羞恥心を感じているのだわ。
だってきっとそれは破廉恥な妄想だから。
でも恋って恥ずかしいの?
よくわからない。
まぁ何にせよ、「抱きしめる」までは理解できるし経験もあるからかなりリアルに想像できる。
別の男性で同じように想像してみるか。
オリバー殿、テッド、ハオマ、アシャ、ダン、セドリック様、クエンティン殿…と知っている他の男性でも想像してみた。
そして意外にも鼓動は平静であり、顔があつくなったりもしないことに気づいた。
あくまでも殿下とのという設定であの反応が起こることがわかった。
これは少なからず私は殿下のことを男性としてお慕いしているということで合っているのだろうか?
改めてエレナに聞いてみよう。
これが恋なら…私はどうしたいの?
婚約者『候補』から婚約者になる?
婚礼後は?領地はどうする?
…今考えても仕方ない。
まずは気持ちに向き合って、もし縁談が進むならその時に考えることだ。
そのためにもダンの教育に力を入れているのだから。
その日は思考を放棄して読書をして終わった。
本の内容はもちろん恋物語である。
私に恋を理解できる日は訪れるのだろうか。
翌日は奇跡的に午前中の予定が空いていたので、ダンの授業の様子を見に行くことにした。
驚くことに教育課程としては王都の教育よりも進んだ内容になっていた。
先生曰く
「みんな貪欲に教えたことを吸収してくれ、計画していたスケジュールだとすぐにマスターして飽きてしまうのだとか。ですのでみんなと相談し、みんなが理解できたと思えた段階で次に進むということをしている内に、年齢的には3年先程度の内容まで進んでしまいました。ただ、進みすぎているが故に教えたことを忘れてしまっていないかは、定期的に試験を行なって理解度を確認しています。」
何と言うことだろう。
非常に興味深いと感じた。
皆が同じようにゆっくりと教えていく必要は無い。
「先生やみんなが決めたことなら問題ありません。遅れるより進む分にはどこまでも進めて頂いて差し支えありません。中等教育に留まらず、高等教育レベルまで上げられれば成果としても大変良い結果になります。優秀な子どもたちが集まったからなのか、カリキュラムが良いのかなど検証できれば尚良いのですが、それは追々。ありがとうございます。これからもみんなをよろしくお願い致します。」
そんな授業見学だったが、座学が進みすぎ問題で、代わりに体力作りや社交などのカリキュラムの充実についても今後時間を増やしていく予定ということで新たな授業計画書を頂いた。




