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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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エレナにも午後のお茶休憩の際に顛末を報告すると、ほっとしたような表情を浮かべた。

アイリーンが戻ってくることを望むのなら受け入れようと思うことも話すと、それは酷く驚いた顔をしていた。


「クレアらしいと言えばらしいわ。でも私は正直、賛成はできないわね。だってまた彼女に因縁をつけられたり疎まれたり憎まれたりする可能性の方が高いでしょう?彼女は戻ってきても『そういう目』で周りからも見られるのだもの。貴女との立場の差をまざまざと見せつけられるようなものよ。身元引き受け人的なところではクレアが対応するのはわかるとしても、クレアの身辺での生活はお互いに良くないのではないかと思うの。」


エレナの言うことももっともであるし、私も考えたことではあった。

ただ、やはりどこかで関係を改善できないかと思ってしまうのだ。


「ある意味でそれが私の復讐でもあるのだけど、それよりもね、また昔のように仲良くなれないかと期待しているのよ。小さい頃は仲の良い姉妹のように暮らしていたのよ。昔ほどでなくとも良いの。少なくともたまに一緒にお茶するくらいの間柄になれたらなって。」


「綺麗事だわ。アイリーンの気持ちを考えても、クレアのことを考えても、お互いの溝を埋めるよりも、今よりももっと深い溝ができているわ。20年も経てば貴女はきっと結婚もして子どももいて、あなたの才覚を発揮して領地はもっと栄えているでしょう。対して彼女には何も無いのよ。元から何も無かったことすら忘れて『クレアに奪われた』と逆恨みするに違いないわ。それでまた何かが起きて、貴女も彼女も不幸になってしまったらと思うと…。そうなる可能性の方が高いでしょう?」


確かにそれは正論だし、実際の彼女の性格からもそうなる可能性の方が高いだろう。

だがこのまま仲違いしたままとなるのはどうしても避けたいと思ってしまうのだ。


「クレア、今から20年先の人間関係を考えても仕方ないわ。その時が来たらまた考えましょう。まずはアイリーンは罪を償う。彼女が反省できるなら良し、逆恨みし続けるならやっぱり仲良くなんて無理よ。」


エレナの言う通りだ。

今決める必要は、無い。

結論を急ぐのは私の悪い癖だ。

何でもすぐに結果に繋げたがる悪い癖。


「何もかもエレナの言う通りだわ。エレナはいつも色んなことを気付かせてくれるわね。私より私のことをわかってくれていそう。」


心からの感謝だが、言い終わってからぶっきらぼうと言うか言葉足らずと言うか、捉えようによっては嫌味のような言い方をしてしまったかと不安になった。


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