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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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それからは展開が早かった。


速やかに調査団が結成され、ローズガーデンへの調査も無事終了したようだ。

あとは報告を待つばかり。

オリバー殿が調査の立ち合いのため調査団と行動をともにしているため、調査団からの報告を待つよりも早く、戻り次第で報告を聞くことができる。


そう考えていると、オリバー殿が帰還した。


何やら浮かない顔で報告を中々始めない様子に、十分な証拠が出てこなかったのだと感じた。


しかしそれは違った。


「ご報告いたします。まず、ロベリア商会については殿下からの事前情報通りクロです。バックに付いていたのもローズガーデン領主一族であることについても言質だけでなく証拠も揃いました。害虫についてもローズガーデン領主の命により行われた羽虫の養殖を行ってゴールドガーデンに放ったという証拠も押さえることができました。調査は問題なく終了致しました。」


目的を果たした割には浮かない顔のままのオリバー殿の様子が不思議でならない。

全ての証拠が揃っていながら、なぜ歯にものが詰まっているかのように話し途中で止めているような歯切れの悪い報告となっているのか?


「オリバー殿、他に何かあったのですね?」


意を決したようにオリバー殿が顔を上げ、報告を続けた。


「はい。…以前オズワルドとアイリーン嬢がローズガーデンに潜伏しているようだという情報がありましたよね。奴らはまだローズガーデンに滞在していました。しかも今回の件を唆したのは奴らでした。クレア様の誘拐・監禁の件もあり奴らは捕縛されました。おそらくクレア様にも奴らの確認のために面通しとして登城要請が来るかと思います。心の準備をなさっていてください。」


すっかり忘れていたがそういえば叔父も従姉妹もローズガーデンに逃げおおせたらしいと以前マリー殿から聞いていた。

まさか計画犯が叔父父娘であるとは。


あの人たちに会うのは正直怖い。

幼少期からのことはもちろん、誘拐事件のこともあって、顔を合わせても冷静でいられる自信はない。

取り乱してしまうかもしれない。

特に誘拐事件後はかなりトラウマがあったし、周囲に支えられて乗り越えられたとはいえ、完全に克服したという確証はない。


登城要請についてはそんなわけでかなり憂鬱であると言わざるを得ない。

オリバー殿の心配を更に深めてしまうくらいにはその報告だけでも冷静さを欠いてしまったのだった。


そしてその時は予想よりも早く訪れた。


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