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私は覚悟を決めた。
しっかりと追及し、相手を打ちのめす。
私たちのこの努力を嘲笑うかのように無に帰そうとする輩を絶対に許さない。
「殿下、状況証拠だけですが、商会とローズガーデンへの追及のためにどのような手段を取るべきでしょうか?残念ですが私の力だけでは力不足です。仲介に公的な立場の方を挟むのが妥当かと考えます。手続きはオリバー殿に依頼するとして、私にできる・私がすべき対応をご教授頂きたいのです。」
私の決意に殿下は優しく微笑んで頭を撫でてくださる。
「よく決めた。そなたの、そなたたちの努力を私は知っている。憤りを感じているのは私もだ。」
そして、今後の段取りを相談した。
まずは陳述書の上奏を行う。
その中に殿下からご提供いただいた商会の情報などを証拠として提出する。
それにより王都議会の中立機関となる調査団を組織し、商会とローズガーデンへいわゆるガサ入れという調査が入る。
事前の調査の日程などの連絡は行わないため、証拠の隠滅も難しいだろう、と。
あとは出てきた証拠次第であちらの罪を問えば良いという算段だ。
さて、そのロベリア商会についてだが、実は商会長のロベリア氏はローズガーデン領主の遠縁にあたるそうだ。
祖父母が義兄弟(姻戚)であり、血のつながり自体はないが、遠縁ということによりお互いWin Winのズブズブな関係のようだ(これは殿下が冗談めかして実際に仰った表現)。
ロベリア商会が流通の流れを汲み取り、今後高騰する品目をローズガーデン領主の権限で仕入れさせ、高騰してからさばく。
そんなことを繰り返していたそうだ。
「そもそもそれは公正な取引ができないことになるため、価格高騰品の買い占めは取り締まるべきなのだ。これを機に王都議会でも法整備をしていこうと思う。」
殿下の心強いお言葉に、この方の治める未来のこの国の姿を想像してしまう。
きっと誰もが暮らしやすい国となるのではないか。
そんな期待が持ててしまう。
未来の前にまずは現在をどう対応すべきかだが、既に殿下の入手されている証拠だけでも不正な取引については十分取り締まれる状況であるらしい。
だが、害虫を故意に放った証拠については不十分なのだそうだ。
だからこそ少し泳がせての証拠集めのようだが、もし十分な証拠が無ければあくまでも不正取引のみでの追及となってしまう。




