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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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「承知いたしました。どちらも大きめの判となりますね。どちらとも女性の胴程の大きさになりそうですがよろしいですか?出来るだけ2つとも同じ大きさとなるように致します。」


一度に同じものを量産する技術があれば良いのだが。

判を作り、押す以外手書きしか手段がないのだ。

工業も盛んになれば、解決策が見出せるかもしれない。


「それでは本日の会議はこれまで。ありがとうございました。試験まで1カ月を切りました。粛々と準備を進めましょう。何かあれば報告をお願いします。」


こうして会議は終了した。

ともあれ、これで段取りもついた。

あとは当日までに質問内容を追加修正できたら。

面接は筆記以上に合否に関わるのだ。

まとまったら質問資料を用意し、それを見ながら評価表を付けるようにせねば。


通常業務の合間に採用試験の準備と、忙しい毎日が待っている。


時間に追われるほどやるべきことがあり、他の誰かのために使う時間の大切さを噛みしめる。


今までの私は、誰のためにもならない、ただ自分のための有り余る時間を過ごしていた。

こんなに1日が短く、貴重だなんて知らなかった。


いや、「誰かのため」と思っているだけで、実はただの自己満足なのかもしれない。

結局は「私がそう思っている」から「私がやりたい・やるべきこと」ととして行動し、周りを巻き込んで、税を運用している。

これが実を結ばねば私は何の価値もないただの穀潰しでしかない領主となり、私は領主の資質なしと言われるのだろう。

そうなるとその後の身の振り方も考えねばなるまい。


結局のところ、結論は自分のためにやれることをやっているに過ぎないのだ。


あとはやはり、失ったものを取り戻すために。

私は子供時代を失った。

親の愛や、周りの人との交流など、情に疎い。

子どもらしいことは何一つしていないのではないかというくらい誰かと何かをした記憶がない。家庭教師が10歳ごろまで付き、最低限の知識やマナーを学び、その後はひたすら本を読んで、その知識で生活していた。

自身の感情の機微はもちろん、人のそれにも疎い。

人間らしさが欠落しているからこそ、人間らしくありたい。

誰かの役に立ち、誰かのために存在したい。

それが自分の価値となるから。

私が私になるために。

幸せというものを感じられるように。

誰かを幸せにできるように。


私の生きる意味と価値を見つけて、幸せというものを感じ、人として生きることとはどういうことなのかを知りたい。


少なくとも、私のような「不幸」と言われる生活をする者が1人でも減るような世の中をつくるのだ。


最近このように自分の目標についてを繰り返し考えるようになった。

私の猶予期間が少ないためだろうか。

あるいは誰かに必要とされたくて、生き急いで、色々と考えてしまうのだろうか。


一つひとつ確実に。

爵位もいつ下賜されるのかなど気になるが、その時にはゴールドガーデンでパーティーを開かねば。


どんどんコネクションをつくり、運営していくためにも。


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