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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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私の応答を聞いた皆様がしきりに領内の色々な部分を褒めてくださる。


エレナやハオマの手腕もかなり評価され、加工品もどれも一流品のため品質管理など是非視察へ行きたいなどの要望も、大掛かりな土地の開発や移住政策についてなどの質問も、どれも盛り上がった。


「しかしクレア嬢、周りの方々が非常に優秀なのはわかりましたが、多くの者へ領地経営についての裁量を与えると反乱などのリスクも抱えるのではありませんか?」


ごもっともな意見が出た。


「クレアはその辺も検討の末に今の体制を確立したのだぞ。リスクマネジメントが過ぎるほどにリスクばかり考えるたちでな。困ったものだ。」


殿下も笑いを取るようにやれやれという動作をしつつ、質問者を軽く睨む。


「最終的な決定に関する裁量は私にありますし、一部の者だけが決定権を持つと力を持った者の反乱などの懸念はあるでしょうが、それぞれの分野で分業する仕組みとしておりますのでパワーバランスが崩れることも無くうまく回っております。それに分業するにあたっては代表者は選挙制にしていますので、誰もが今後の選挙向けて結果を残すために真剣に取り組んでいます。選挙制のため人員も今後は入れ替わっていきますので、特定の派閥が力を持ちすぎるなどという懸念もある程度は解消できると考えています。ですので今のところは不都合はございません。今後の経過を見て、何かあれば対応策を検討しようと考えております。」


なるほど…と皆様がご納得頂けたようで、わたしの質疑への対応はまぁ成功したということだろう。

お茶会も食事会も舞踏会も、全て気楽に楽しめるようなイベントでは無かった。

これも政治的な活動の一環のようだ。

この話題以外にも、マーティン殿下も時々フォローのような合いの手を入れてくださったりと、私の緊張をほぐしつつ相手を牽制してくださっていることに感謝しつつ乗り切ることができて良かったと思う。


最後のデザートとお茶を頂き、お開きとなった。

晩餐会には出ていなかったリネットへ殿下と共に挨拶に向かうと、丁度お茶の用意をしているところだった。


「クレア!…と殿下もごきげんよう。お茶が入ったところですから、是非ご一緒にどうぞ。」


促されて席に着くと、リネットは私たち3人だけになったことに気を抜いたのかテーブルで頬杖をついた。


「殿下のお相手にってま〜た色んなところで声をかけられるのよ。せっかく婚活に励もうとしているのにこれじゃあ新しくお見合いすることすらできないわ。殿下になんて言われる私に名乗りを上げられるような殿方が居るはずないもの。どうしてくださいますの?婚期をすっかり逃す未来しか見えませんわ。」


リネットが恨めしそうに殿下に苦言を呈した。


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