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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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でもこの前のお茶会のことを思い出すと、胸が熱くなる。

単純に嬉しかったのと、素晴らしさに感動したことは間違いないのだが、何だか他にも理由がありそうで、でもそれが何なのかはわからない。


でも殿下に対して思う気持ちは、やはりどちらかと言うと愛ではなく友情の方が近いだろう。

確かにお茶会の前と後では私の気持ちは変わりつつあるようだが。


でも、でも、でも、と色々と考える内に、思考回路が断線したのか考えが進まなくなった。


きっとまたお会いした時に胸が熱くなった理由がわかるだろう。


ダンと話して数日が経過した。

必ず毎日の夕食を共に摂るようになった。

夕食の席でダンとその日の出来事を互いに話し、ダンもその時間を楽しんでくれているが、実は私の方が楽しみにしている。


たまにエレナやハルバード殿、オリバー殿も夕食を共にし、ほんの数日の内の些細な変化ではあるが、誰かと共に団欒を楽しむというあたたかい時間の幸せをかみしめることができた。

もっと早くからこうしていれば良かったのだ。

以前は皆忙しいだろうと思い、用がなければお誘いしなかった。

今は用がなくとも『ご一緒にいかがですか?』の一言をかけられるようになった。

元々エレナとはたまに食事を共にしていたが、やはり誰かと共に過ごすというのは楽しい。


私の周りには優しい方々がたくさんいて、共に同じ時間を過ごしてくださる。

唐突にテッドのことを考えた。

テッドは今頃どうしているだろうか。

彼は今、幸せだろうか?

彼は今、笑顔であるだろうか?

テッドのこともやはり恋愛的な気持ちは無いが、それでも良き友だと思っているため、幸せであって欲しいと思う。

いつかまた会えたら、その時はお互いに心からの笑顔で語り合いたい。


賑やかな日々に様々な思いが浮かんでは消え、時々辛い思い出も浮かんでくるが、日々の喧騒がそれをかき消すかのように過ぎていく。

心のざわめきは、今では不快なものではなくなりつつある。

社交についても大分成長し、世間話も私からスムーズに話題を振ることもできるようになった。

エレナからの評価は爆上がりだ。


そんな時に届いた、舞踏会の招待状。

主催は王室のため、断ることはできない。

社交面の成長を発揮しようと俄然やる気になっていることに気付き、自分の中のそんなポジティブな面に驚いている。

今回の舞踏会は定例のものらしい。

昨年までは参加したこともなかったので私はよくわからないが、ダンも伴おうかと少し悩んでいる。

まだ社交会デビューには早すぎるが、もしかすると来年には私はゴールドガーデンを去っている可能性もあるため、早くからダンの顔を売るのと、後見まではいかずとも有力者と繋がれたら今後の彼のためになると思うのだ。


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