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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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もうどんな『好き』かはこだわらない。

みんなそれぞれ大切な大好きな人たちだから。

ただ、殿下への『好き』の気持ちは変わるか変わらないかまだわからないから気にしておこう。

恋愛的な意味でなくとも間違いなく大切な人だけれど、今後の人生がかかっているのだから。


こうして王宮での滞在も終え、王都でのお茶会もこなし、私たちはゴールドガーデンへと戻った。


殿下へのお礼状をしたためながら、お茶会の様子を思い出して思わず頬が弛んだ。

可愛らしい花たち、可愛らしい花の動物たちにどれだけ癒されたか。

殿下はどの季節でも花を咲かせてくださるとおっしゃっていた。

花自体もだが、あの場に居た全員が笑顔の花を咲かせていたように思う。

誰もが笑顔になれる。

そんなことを私には何かできるだろうか。

相手のことを考えるおもてなしや思いやりの心だけでなく、殿下が昔から抱いている皆を笑顔にしたいという志そのものが、あの場の雰囲気をあのようにできたのではないか。


私は何か志は有るのだろうか。

領民が幸せになれるように、とは常々思っている。

そのために仕事を作って、特産品を作って、領地を豊かにするところまではなんとか形になった。

平民も貴族も関係なく、平等な生活ができるようにし、これからは誰もが基礎的な教育を受けられるように学校を作ろうとしている。

ゴールドガーデンの民たちは幸せだろうか?

飢えることはないだろう。

理不尽に耐えなければならないことも減っただろう。

自ら考え、選択する力を得られるだろう。

だろう、と推測でしかない。

どうやってそれを評価したら良いのだろう。

だからこそ民と触れ合うべきだとベアトリス様もおっしゃった。

民が何を望み、そして暮らしをどう思っているのかを知るために。


もっと視察を増やそう。

視察という名のふれあいの場を。

私に気軽に話しかけられ、気軽に困っていることなどを相談できるように。


頭でばっかり始めて終わるのは良くない。

まずは私の頭でっかちをどうにかしよう。

そのためにも遊びだ。

心から楽しめる時間を共有し、身分などに関係なく関われるようなことをしてみよう。

ダンの学友の子どもたちに混じってみようか。


私の志とか、為すべきこととか、存在意義・価値とか、そんなことばかり考えるのではなく、少しでも関わった人たちが笑顔になれるためにできることを楽しくできたら良いなと思う。

仕事なんて楽しいことばかりではないけれど、楽しみながらできた方が良いに決まっている。

ハーブ園の件のように楽しみながらを目標にしよう。

無理もしない。


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