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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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「私もね、マーティンは本当はとても優しくて繊細な子だと思っているのだけれど、こと結婚については興味がないと言うか、あえて考えないようにしているようなところがあったので心配だったのよ。だからこんなにも真剣に人と向き合えるようになって嬉しいのよ。私の個人的な意見を言うと、クレアがマーティンのお嫁さんになってくれると嬉しいのだけどね。私もあなたのことを好ましく思っているわ。強要はしないわ。でも前向きに考えて欲しいの。あなたたちなら素晴らしい国王と王妃になれるわ。2人に国を導いて欲しいと思っているの。」


王妃様からも熱烈に歓迎されていることが改めて感じられた。


「買い被りすぎです。私は本来自分勝手な人間です。教養などを含めて令嬢としての教育も不十分ですし、なにより社交性に乏しいのです。これでは殿下のお役に立つどころか、足を引っ張ってしまいます。それに、私の方こそ殿下に人を思いやるということ、優しさを教わりました。私が友を得ることができたのも殿下のお計らいのおかげです。愛や恋が何たるかはまだ模索中ですが、今の私の幸せは殿下のおかげなのです。私が誰かを愛するのならば、それはきっと殿下なのでしょうが、まだわかりません。それに私には将来国母となる覚悟はありませんしできません。」


私の言葉にお三方共に微笑まれる。

エレナとの出会いだって、今の私の地位や立場だって、全て殿下がサポートしてくださったからこそだ。


「良い。焦ることはない。私はそなたを勝手に好いておるだけだ。そなたにはそなたの気持ちも、考えもあろう。私に与えられたチャンスを逃さないためにも、私はそなたへの気持ちを誠意を持って伝えていくのみ。」


「本来ならば王命として王太子妃となることをお命じになることもできたでしょうが、私の気持ちを尊重していただけること、両陛下ならびに殿下へも感謝の念に絶えません。私も少しでも成長できるよう努力致します。我がゴールドガーデン領も王国に貢献できるよう、これから発展させることに尽力致します。」


私は本当に恵まれている。

本来は私の気持ちなど関係ない、政略結婚となるのが貴族の常。

私に選択権が与えられるなど本来は有り得ないのだ。

しかもこの縁談をお断りするなんてことになれば不敬であるし、縁談がまとまっても成り上がりの伯爵では身分的にも本来ならば有り得ないだろう。

これほど私にとってだけでなく、国家レベルで異例のご対応をしていただいているのだ。


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