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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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採用試験の話が具体的にまとまり、部署の名称を決めて試験実施を迎えることとなる。

名称案の期日を設けなければ。

そして何より、面接の質問事項を決めねば。

あの8つでいくか、10挙げるか。どのように組み合わせるか。

態度面などについてはチェックリストを作成してチェックし、印象をフリーメモできる欄を設ける。

質問と回答は私が手書きでメモしながら埋める。


さて、受験者はどのくらい集まるだろうか。

この試験の倍率など傾向を把握すれば、来年度からの採用試験もどんどん改善していけるだろう。


部署が一通り動くようになれば、あとは議会を立ち上げるだけ。

立ち上げたら今度は各種規律を整備し、法律というか、条例というか、領内での善悪を誰もが裁けるくらいの決まりを作りたい。

貴族だから正義、一般人は我慢、そんなのがまかり通るのは少なくとも私の領地では許せない。


どの立場でも、何が良くて、何が悪いのか。


子どもたちも大人を見て育つ。

正しく正義を教えられる大人はどれだけいるだろう。

正しく行動できる大人がどれほどいるのだろう。


私だって。

虐げられる辛さをよく知っている。

それを正すことのできない周囲の人間の存在をよく知っている。

立場というものが正義を邪魔する。

だからこそ。


お互い支え合って、助け合って、誰もが幸せに暮らせる。そんな暮らしを作っていきたいのだ。

綺麗事だとわかっている。

みんながみんな幸せになれないのも理解している。

それぞれ別の人格で、幸せの基準もそれぞれにある。

少なくとも、不幸な人を生みたくないのだ。


領内の生産性などが安定した暁には、学校を作りたい。

私の夢が広がる。

私の希望が広がる。

私の、私たちの未来が広がる。


それらだけでも何年かかるかわからない事業になる。


まだ生産性の不安定さが残ることと、野盗問題。


「皆様、近頃我らがゴールドガーデン領内でも野盗が現れるという情報がありました。その対策を検討し、少しでも自衛していけたらと思うのです。何かご存知の情報ですとか、対策の案がございましたら是非ご提案ください。」


本日の最終議題を呼びかける。


「王都に出没していたという悪党どもらしいですね」

「何でも金のありそうな男を若い女が誘い出して、人目のつかないところで追い剥ぎをするとか」

「領内での被害は今のところ3件ほどと伺っています」

「王都では花街や飲み屋のあるようなところの裏道で被害があったそうですね」

「ですが、ゴールドガーデンではそのような場所ではなく、大通りで堂々と犯行に及んでいるようですよ」


次々に情報を口にするが、最後の「大通りで堂々と」が気になった。


「大通りとは具体的にどこでどのように犯行が行われているかご存知の方はいますか?」


私の問いかけに対して、おそらく領内随一の情報通のマリー殿が手を挙げた。


「なんでも貴族の馬車が狙われていましてね、馬車というと護衛も付いていて1人や2人でございましょう?下手すりゃ護衛なしでフラッと出かけたりすることもありますからね。そこで女が馬車の前に飛び出してくるそうです。足を痛めたフリをして馬車を止めて、馬車を降りてきたところを仲間が一斉に出てきて金目の物を盗っていくそうですよ。」


その情報は初めて聞いた。

さすがマリー殿だ。


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