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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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「じゃあエレナ、しばらくハオマと打ち合わせをしてきたら良いわ。私はハーブ園を見てまわって、お客さまへご挨拶しているわね。」


他の領からの視察や、ご令嬢などがハーブ園を訪れているため、ご挨拶してまわる。

合間で農夫や庭師などとも世間話やハーブ園の情報についてなども話す。

エレナが戻ったらハーブ園の外の加工場(まだ仮設だが)も視察し、現在の状況を確認する。

加工場は現在香料・染料・茶葉の3事業をすすめている。

そのためアシャも最近は香料の加工場へ出入りしている。

今のところはそれぞれ仮設であるため設備もまだ整っていないのだが、ハーブの生育状況や収穫量などを共有して簡易的に加工を始めている段階だ。

このまま安定的に収穫が望めるようなら設備を整えて本格的に加工場を作ることにしている。

ゆくゆくは喫茶店などもハーブ園の近くに作る予定のため、実際に仮設加工場で試験的に運営しながら場所や広さなどを検討しているのだ。


仮設加工場にはそれぞれの専門家だけでなく近隣からも手伝いを雇っている。

そういった方々にも加工場についてだけでなく、日常生活を含めて何か困っていることや改善すべきことがないかなどの意見を求める。

彼らが安心して働くためには日常生活を安寧に過ごせることも大切であるから。

より良い領地経営のためにも、領の繁栄のためにも、ハーブ園に限らず広く意見を求めていこうと思う。

領民一人ひとりとまではいかないが、できる限り多くの領民と接していきたい。

セドリック様ご夫婦のように、柔軟に考え、行動できるように、色々と知見を広げていきたい。

貴族側からだけでなく、平民側からの物の見方ができるように。


なんだかんだと忙しく挨拶回りや視察を済ませ、休憩中にエレナとハオマの打ち合わせの様子を眺める。

やはりハオマは以前と違う表情をしている。

少しだけ緊張を孕んだ、それでいて穏やかな何とも言えない表情。

エレナの想いが通じたのかしらと期待せずにはいられない。

そういう私の偏見からか、ハオマの顔が少し紅潮しているようにも見える。

いつものお返しにあとでエレナを追求してみよう。

照れてタジタジになってくれたらお返し成功よね。

そんなことを考えている自分に、年相応の女性に近づいているのではないかとハッとする。

他人の色恋沙汰に心をときめかせ、友と盛り上がるという様子を想像し、無意識に顔がにやけてしまう。

こういうところも私が変わったと思えるところだ。

以前の私は独りでにやにやするなんて有り得ない。


私もエレナも一通り仕事を終え、城へ戻る。

雑務を片付けてようやく一息ついた頃にはもう夕食の時間だった。


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