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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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案外早く支度を終えたため、昼前には仕事が済んでしまった。

お茶会は15時からの予定で、開場は30分前からとしている。

自分の身支度や、会場の最終確認、来賓のお出迎えなどのこともあり13時ごろには支度を始めることになっている。

私の身支度は30分もかからず終わるので、ギリギリのようで意外と余裕のスケジュールなのだ。

あまりゴテゴテ飾り立てるのも、しっかりと化粧するのも好まないが故に私の支度は早い。

髪を結うことが1番時間がかかるのだが、あまり身なりを構わない質なので実は苦痛だ。

もちろん清潔にすることや最低限のマナーについては十分気を遣っているけれど。


殿下も朝からご訪問くださっていることもあり、時間まで殿下とお話ししたり、昼食を共に摂ることになった。


「早くから来た甲斐があったぞ。そなたと語らう時間ができるとは、有り難い。さっきは教育についての話をしたが、もしそなたが私に話したいことや報告すべきことが取り立てて無いのであれば、もっと他のことを話さぬか?何なら報告ですら後日手紙でも構わぬ。」


相変わらず殿下は私を大切にしてくださる。

こちらこそ有り難いことであるのに。


「他の話とは…?急ぎご報告することはございませんので、本日のお茶会の後にハーブ園運営やそれに関わるハーブ関連の新規事業などの計画やご報告は報告書を作成させて頂く予定です。殿下は何か話したいことがお有りなのですか?」


私の問いに少しばかり困ったようなお顔で私を見つめる。


「…そなたは全くもって女心も男心も関係なく、いつだってそなたはそなたなのだな。」


おっしゃる意味が全く理解できない。


「殿下?恐れ入りますが、私には哲学的すぎるようです。私に理解できるようにお話しくださいますか?」


「哲学でも何でもない。世の女子とも違い、かと言って男のようでもなく、そなたはいつだってそなたなのだと思ったまでだ。生涯の伴侶となるやもしれぬ仲で、互いのことよりも仕事のことばかりではないか。あるいはそなたにとって私は『夫婦となるかもしれぬ仲』なのではなく、あくまでも『王太子と一領主』でしかないのかもしれぬな。…人ではなく仕事に嫉妬してしまうなんてな。」


そうか。

殿下はもっと『私』と接したいとお考えなのだ。

私は領主としての立場ばかり考えていた。

先日のお見合いで殿下のことをより知ることができたと思っていたが、あくまでもそれは殿下の一部でしかない。

殿下ご自身のことは知らないことの方が多いのだ。


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