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ソフィーの母上からの質問は回答が難しい。
「私の知り合いをご紹介することは可能ですが、先方が受けてくださるかはそちらとの相談が必要ですし、ご紹介してそのまま働けるかは何とも現状では申し上げられません。ただ、私もお相手との今後の関係性にも関わることですから安易にご紹介しますとはお約束できませんが、成績や態度などからご紹介できるほど本人の意欲があると評価できればご相談していくことをお約束しましょう。」
そういった対応後、3組とも共に学ぶことが決まった。
質疑応答しても辞退されてしまうのではないかと不安があったため安堵した。
ダンとも仲良くおしゃべりして、幸先の良いスタートをきれそうで私の方が楽しみなくらいだ。
この『特例』が成功すれば案外学校の設立も早めにスタートできるのではないかと期待している。
学ぶために費用の負担が無いことで前向きにお考えいただけているのだろう。
今後学校の制度を作るとすれば、寄付金はもちろん歓迎したいが、ハーブ園などの収益から費用を賄う必要があるだろう。
将来的にはゴールドガーデンの人材育成という視点では有益だけれど、学ぶことの有用性を広く知っていただくにはまだまだ多くの課題がある。
まずはこのミニマムな規模からやってみながら考えていくしかない。
1日1日があっという間に過ぎていく。
そしてゴールドガーデン主催のお茶会もいよいよ当日が来た。
マーティン殿下は気合を入れて(?)その日1日公務はお茶会参加のみということでスケジュールを調整してくださったそうで、朝からいらした。
「クレア、いよいよハーブ園をオープンするそうだな。エレナからも聞いたぞ。今のところは順調なようで何より。本当は国王陛下も視察に来たいと希望されていたが都合がつかなくてな。私が名代としてということだが、まぁ元々私は参加する予定であったので何も問題はない。最近はどうだ?」
殿下とは挨拶もそこそこに客間へお通ししてからお話ししているのだが、私も今日は準備に忙しくあまりゆっくりとお相手する余裕が無い。
「国王陛下方もご壮健なら何よりでございます。お忙しくていらっしゃるところ殿下にご参加いただけるだけでも身に余る光栄でございます。ゴールドガーデンはお手紙でもご報告致しております通り、事業は順調にということろです。議会も問題なく運営できております。あとは試験的に学舎を始めようと計画しております。ダンドリオンという男子を引き取りまして、その教育のためにも学友を迎えたく募集致しましたところ3名がご参加くださることになりました。うまくいけばゆくゆくはもっと規模を広げて各村にも設立できればと考えております。」




