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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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エレナの言葉に半信半疑なまま、エレナに問うた。


「エレナも休みたくなったり、サボりたくなったりするの?」


エレナは笑う。


「それはもちろんです。天気の良い爽やかな風が吹く日はのんびりと日向ぼっこでもして何もしたくないと思います。暑さ・寒さが厳しい時や、風が強い時などの天候の悪い日もベッドでゴロゴロとしていたくなります。何となく体調がすぐれない時だってそうです。それは『普通』なんですよ。あとは理性で自分を律して仕事などを予定通り行うのです。でも、気持ちを切り替えるのは難しいこともあります。そんな日は集中力を欠くものです。ご無理なさらずに、たまにはオフを楽しむのも良いものですよ。」


知らなかった。

エレナも仕事をサボりたいと思うなんて。

エレナの働きぶりから、不真面目だとは全く思っていない。

ただ、そう思うことがあるのだ。


私は今まで仕事とはすべきことであり、やらないという選択肢すら無いと思っていた。

だからやりたいか、やりたくないかというジレンマはなかった。

やりたくないが、やる。

それが今の私。

これは普通に思うことなのだと知って安堵した。


私は働くことに向いていないのか?

ましてや領主だなんて人の上に立つ責任ある職務を全うするのに相応しくないのではないか?

そんな葛藤でここ数日思い悩んでいた。

やりたくないからやらない、なんてことはしようとも思わないが、心構えの問題として私の中でかなり葛藤したのだ。


オリバー殿やセドリック様、殿下、国王陛下などの皆様でもこういう気持ちになることが本当にあるのだろうか?

なんて半信半疑な気持ちもまだある。

聖人君子のような方々がそんな煩悩がお有りだろうか?

でもエレナもそう言うのだから、きっと誰しもが少なからずは抱いたことのある煩悩なのかも知れない。


あとは私も煩悩に打ち勝って、自らを律し、職務に励むことができるように努力するのみ。


そう結論づけたものの、その後の数日も煩悩と戦う日が続くことになるのだった。


こんなに自分を制御することが難しいだなんて。


でも、楽しい思い出が増えると仕事も気持ちがのった時はとても楽しい気がしている。

煩悩に囚われるのは仕事を始めてすぐの朝が多いが、そこを乗り越えると『あと何時間したら庭に行ける』とやる気になる。庭から戻っても、『楽しかった。また明日のために頑張ろう』と思えるようになった。


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