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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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そんなこんなで慌ただしい1週間を過ごし、会議の日となった。


来る日も来る日もオリバー殿とテッドの3人で打合せをし、報告会となるのではないかというくらいのまとまり。

あとはほかに良い案があれば採用し、運用に向けて改善点を探りたい。


あとは問題が1つ…

王都に出没していた野盗が、王都での活動を断念したのかゴールドガーデンにも範囲を広げはじめたのだ。

具体的な詳細情報はまだ入ってきていないが、どうも「女が男を誘い出して有り金を奪う」手口らしい。

そのため王都の賊が島替えしたのだと考えている。

被害に遭った貴族とコンタクトが取れず、詳細を確認できない。

貴族のプライドの高さから、誰が被害に遭ったのかうやむやで、「友人が被害に遭った」などという話しで広がっていることもあり、信憑性も含めて確認していきたいのだが。

自分が騙されたと認めたくないためというのと、噂好きというのと。貴族とは本当にめんどくさい。


早く詳細を確認して周知し、警戒を強めたいのだが。

会議で警備担当とも相談していこう。


公務員採用試験に集中したい時期に高々野盗がのさばるなんて、と怒りで震えるのだが、追い剥ぎをするほど餓えた民もいるのかと思うと怒りばかりではなく自分の無力さにも苛立つ。


なんにせよ苛立つ。

最近は「怒り」の感情が表へ出やすいような気がする。

悲しみや苦しみは差し迫って私に訪れていないが、怒りはチラホラと。喜びや楽しみ、幸せをもっと感じて表へ出せたら良いと思うが、これは難しいのだ。十分幸せだと思うのだが、感情を出すのがどうも苦手なのだ。

怒りが少しでも出てくる分、「今までは無機質な人形のようだった」と言われていた以前の私には考えられないくらいだ。

とは言っても怒りもそれほど表には出さないが。

少しムッとしてしまうことがあるし、感情を自覚する。

色々な感情を自覚して、表現できたら良いのだが。

今度友人のエレナに相談してみようかしら。

彼女は感情の出し方が上手だと思う。仕事の時にはわきまえ、友人として接する時には言葉は丁寧であるが感情表現を巧みに入れている。

時々文通しているが、私の近況報告は報告文のような単調なものになりがちだ。

エレナの手紙は目の前でエレナが話しているかのように綴ってある。

読んでいて楽しくなるものだ。


人とふれあう機会が出来て、色々な感情が生まれてくる。

いや、元々私の中に居たものなのだろうが、長らく眠りすぎた感情はまだ覚醒しないのだ。

お父様のように人望のある人間性を磨いていければ、きっと皆が安心して暮らしていくことができるだろうと思う。

私も人並みの感情を、人並みの人生を得たい。

そして、誰かを幸せにできれば、私の生まれた意味もあろう。


本で読んだことのある言葉で言うならば、何のために生まれ、何のために生きているのか、それを追求するのが人生らしい。

死ぬ時にその意味がわからないようでは生きた意味がないのではないかと不安になる。


どうしても生きる意味を見出したい。


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