277
選挙も無事に終わり、予想というか、予定通りというか、議会の構成が確定した。
そして、ブルーベル様の件をハオマに伝えた。
「わざわざご報告をありがとうございます。僕もこのままこの件は忘れます。自分の能力をさらに高め、同時におごることなく生きていけるよう精進致します。」
ハオマはやっぱり真面目だ。
こういう男性を堅物というのかしら?なんて。
エレナにも態度を見る限りかなり紳士的というか。
素直というのか、愚直というのか、真っ直ぐなのだ。
それでいて自身の立場を弁えた態度を取ろうと考えているのもわかるほどに腰が低い。
エレナも苦労するわね。
想いが通じるようになるのかしら。
そんな下世話な心配をしはじめる。
かくいう私は、殿下との次の予定を調整するように依頼が来ている。
極少数のお茶会程度のもので良いそうだ。
ゴールドガーデンの茶葉もそろそろ第一弾を売り出そうとしているタイミングなので、そのお披露目( 宣伝 )も兼ねて中規模にお茶会というか、ガーデンパーティーのようなものを開こうか。
大規模にやるなら庭の移転後。
中規模なら今の庭で十分。
50名くらいはご招待できるだろう。
あとはエレナとの招待客のピックアップと、計画を詰めていかねば。
「エレナ、次の殿下とお会いするタイミングなのだけれど、お茶会を開こうと思うの。50人くらいの規模で、ゴールドガーデン産の茶葉の発売前の宣伝ということで。だから招待客のピックアップとか、色々と相談したいのだけれど、良いかしら?」
休憩中のエレナとのお茶の時間にその話しを切り出した。
「えぇ、良いと思うわ。殿下と2人きりではなく、多くの方をご招待して仲睦まじい様子をご覧頂ければ、縁談がうまく進んでいることのアピールになるわね。」
エレナがにっこりと笑う。
『そういうことでしょ?』という圧を感じさせる笑みだ。
「…それは考えていなかったわ。ただ、まとめてこなせたら楽だし良いかと思って。」
正直に白状し、そんな政治的な意図は無かったことを認める。
「…はぁ。クレア、あなたは今王太子妃候補として社交会でも、政治的な面でも注目されているのよ。お茶会を開く、それだけでも誰が呼ばれるかということがとても注目されるわ。みんなね、『そういう目』であなたを見るのよ。まぁこのまま縁談を破談にしないなら良い機会よ。お茶会の演出次第で縁談の雲行きを予想されるから、そのつもりでやらなくてはいけないわ。」




