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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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「そうだな。私情はできるだけ挟まぬよう心がけよう。そなたに桜を見せられて本当に良かった。あれは私の今までの人生で1番の成果だ。まだ王族として・施政者としては何も成せておらぬが、私が唯一昔から取り組んできたもの。ある意味で私の生き方であり、目標なのだ。」


殿下が公務として一体何をなさっておいでなのかは具体的には知らなかったし、今でもわからない。

きっとお忙しいはずだ。

そんな中でも人々の笑顔のためにと植物の研究をなさっているとは驚く。


「あの桜以外にも何かご研究なさっているのですか?」


なんとなく他にもあるような気がして聞いてみた。

『1番の成果』ということは他にも何かしらの研究なり、ご公務なりでのご自身の中での成果はおありだろう。


「そなたに治水などの専門家を紹介したと思うが、私も国内の治水の事業の一端を任されてな。土に応じて地盤を固められるようなしっかりと根を張る木々も研究している。粘土質の土壌、岩の多い土壌、砂のように水を含みにくい土壌など、地方によって地質は異なる。何を植えても良いというものでも無い。それに、その木々がゆくゆくは生活に活かされることも考えねばならない。そういったことを専門家に学びながら実際に植林などを行なっているのだ。あとはまぁ木だけでなく土に咲く花もだな。いつか花畑を作りたいと思っている。女々しいかも知れぬが、一面の花畑を作って、みた人々がその光景に心を動かされるようであれば良いと思う。美しいでも、かわいいでも、幻想的でも、思うことは何でも良い。ただ、みた人がみたその時に幸せを感じられるような。そんなことができればと思う。いずれは私が国を治める。政治的には皆が皆幸せになれるというのは難しい。誰かが得をし、その分誰かが損をする。そんなことばかりだ。だがな、野に咲く花でも良いが、美しいものをみて何かを感じるのに、悪い感情を抱くことはあまり無いと思うのだ。全くゼロでは無いがな。なんでも良いのだ。とにかく、貴族も平民も関係なく笑顔がひとつでも多くある国にしたい。」


より多くの笑顔をというのは、簡単なようで限りなく壮大な夢なのかも知れない。

でも、殿下の思うことはとてもよく理解できる。

私もできるならば1人でも、1度でも多く笑顔のある暮らしを作りたい。


「殿下の思い描くこの国の未来はどのような国ですか?」


私の質問に一瞬だけ目を閉じて考えられたが、すぐに答えが返ってきた。


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