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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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殿下のことをもっと知る必要があるような気がする。

殿下は国を思い、民を思っておいでで、熱い思いがあるお方だ。

敬愛すべき素晴らしい方であることは重々理解しているが、不敬かもしれないが友としての親睦を深めたいという気持ちの方が強い。

でも、殿下のことはもっと知りたい。

でも、お妃候補としては覚悟が出来ない。

でも、でも、と思ってしまう。


「クレア?桜ばかり見ているが、私のこともみてくれ。今すぐに結論を出す必要はない。私にくれたチャンスを私は逃したくは無い。ただ、そなたの気持ちを無視していくつもりは毛頭ないのだ。」


殿下は私をまっすぐに見ている。

私も殿下をまっすぐに見つめ返す。


断ることばかり考えていたけれど、今はこのまま未来については何も考えずに殿下を知ることからはじめよう。

結論はそれからだ。


「殿下、お気遣いありがとうございます。殿下の貴重な1年を頂くことはおそれ多いと考えておりましたが、ありがたくお時間頂戴致します。」


殿下のお気持ちにまずは寄り添ってみよう。

殿下のように、私も皆を笑顔にできるように、笑顔を守れるように、そんな何かを成し遂げたい。


「叔父上からでも聞いたかも知れぬが、私は以前縁談を台無しにしてな。相手の令嬢には失礼であったと後悔してはいるが、それほどまでに私は婚姻に興味も無かった。興味どころか、私も相手も国のための駒となるような気がするのでな。そういう義務が生まれた時からあることは承知しているのだが、やはり良い気はしなくてな。だから破談にしたのだ。反抗期のようなものだったのかも知れぬな。いまだに婚姻には後ろ向きであると周りには思われていたので中々縁談が進まなかったのだ。」


「そんなエピソードもどこかで耳に挟んだように思います。過去のことは、殿下も多くのものを背負っておられるが故に仕方のないことなのでしょう。私もいずれはゴールドガーデンに婿入りして頂ける殿方との婚姻が必要となると思っておりました。まだ未来のことはことはわかりませんが、殿下の桜を見て思いました。私も皆の笑顔を守れるように私の人生をかけて何かを成し遂げたいと。私に何ができるのか、私が生まれた意味や使命などの難しいことは常々考えても答えが出ませんが、一つひとつ私にできることを考えてゆきます。これからも殿下にお力をお借りすることがあるでしょうが、縁談などのことは置いておいて第三者的にご意見をお願い致しますね。」


縁談をまとめるためにゴールドガーデンに肩入れしていると周りに思われるのは不本意である。


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