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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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新しいアクセサリーもドレスもいただいているが、そんな貴族の諸々に巻き込まれたくは無いので、頂いたものは有難くゴールドガーデンの資金として換金させて頂いた。

お礼状と、おまけにゴールドガーデンのブレンドティーを返礼としてお送りしているし、そもそもゴールドガーデンとの親交として贈ってくださっているのだから何も問題はないはずだ。

急に自称私と親しい方が増えているようで困惑してさえいるのだ。

贈り物を私が身につけるなんて恐ろしくてできない。


田舎者の伯爵と侮られていたはずが、時の人となり、もし縁談がうまくいかなければまた侮られるし、うまくいけばいったで擦り寄ってくる人が増える。


面倒くさいことこの上ない。


私の本質や、ゴールドガーデンのことを思って接してくださる方々はどれだけいることか。


縁談がどう転んでも何かしらの影響を受けるのだ。

このまま平穏に暮らすというのは難しいのかもしれない。

私は縁談には乗り気ではないのでこのまま破談になるかとは思っているが、王家に無礼とならないような結果にしなければならない。

マーティン殿下も無理強いはしないという方針で縁談を進めてくださるということなので、結論をお伝えすればきっと殿下からお断りしたということにしてくださるだろう。


私の気持ちが変わることはあるのだろうか?

殿下に恋することがあるだろうか?

今は正直な気持ちとしては『頼れるお兄様』とでもいう存在。

殿下の貴重な1年を無駄に使わせないためにも、やはり早急にお断りした方が良いのか…。

殿下ももう22歳だ。

この国の王侯貴族は、18ごろには結婚なり婚約なりするのが通例。

特に王家はお世継ぎなどの問題もあるだろうし、早くにご成婚なさるものだ。

殿下の『やんちゃ』によって王家も慎重にお妃候補を協議していたようだが、いい加減身を固めることを期待される時期だ。

この国には現行の規範では側室の制度はなく、一夫一妻制であるためなおのこと。

昔は側室も設けていたのだが、それは国の混乱を幾度も招き、世継ぎたる王子の命を危険に晒したり奪ってきた。

貴族はこぞって娘を差し出し、寵愛を得られず孤独に生涯を終える姫が後を絶たなかった。

姫君たちも、お子たちも、不幸になるなら。国を乱すことになるなら。そうして約120年前に一夫一妻制となった。

そんな歴史も本で学んだ。


そんな色んな事情もあり、色んな意味で荷が重いのだ。

王妃としての務めを果たす覚悟はない。


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