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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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「やはりこのドレスは格別ですね。クレア様によくお似合いですし、クレア様だからこそ映えた着こなしをできるものですね。」


前回のパーティーでのドレスは、エレナの目論み通り社交界でこぞって令嬢達が作らせるほど流行しているそうだ。


今回は新たにドレスを作らず、あれに少し手を加えている。程よくレースをあしらうことで、胸元や背中の露出を抑え、かつ華やかに。

マーメイドラインのスカートも、上からチュールを何層か重ねて体のラインがはっきりしすぎない程度にふんわりと見せてくれる。

ラインストーンやスパンコールでギラギラさせるのは趣味でないためエレナに相談したら、オーガンジーを重ねた色とりどりの花と、オーガンジーの蝶をドレスのあちこちにあしらってくれた。しかも蝶に至っては空気で羽がひらひらと動くのだ。

薄紫の花畑に、蝶が飛び交っているようなそんなドレスに仕上がっている。

靴にも花と蝶の飾りを付けてくれていた。

お直しから返ってきてから見たときはその美しさに感動したものだが、改めて着てみるとやはり心が躍るような気持ちになる。

こんな気持ちになるから、貴族の御令嬢方はドレスやアクセサリーを頻繁に新調するのだろうなと最近ではわかるような気がしている。


「やはり素敵ね。エレナの見立て・センスは間違いないわね。新調せずともこんなに素敵なドレスを着られるなんて。元のドレスもとても素敵だけどね。」


私の言葉にエレナも喜んでいるようだ。満面の笑顔で興奮気味だ。


「クレア様の美しさにはドレスやアクセサリーは負けます。張り合うのではなく、より引き立てるにはと考えるとシンプルなものこそが1番クレア様にはお似合いです。そしてシンプルなものは品良く、主役とも脇役ともなり得ます。この先またお直しすることを考えると、切ったり針を多く通すことは避けたかったのです。華やかさと上品さを兼ね備えたドレスとアクセサリーなら、クレア様の美しさと聡明さを充分引き立てます。」


随分とベタ褒めされたため、全身がムズムズとするような気がしている。


化粧も髪も整え終わると、鏡の前でしばらく自分を眺める。

普段は木綿の黒や茶色などの地味な衣服を身につけているため、これが本当に自分なのか信じられない気持ちがある。

ドレス姿を褒められるのは何とも嬉しいものだ。


セドリック様とベアトリス様にもお披露目すると、お二人とも大変恐縮するほどお褒めくださった。


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