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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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とても有意義なご意見だ。

確かに面接とかでもなければ領民と接する機会はほぼ無い。

あっても村長くらいなものだ。

ベアトリス様のように慈善事業でなくとも各村へ赴いて、民とふれあうというのは有意義なことだろう。


「そうですね、これからは人任せにせずもっと私自身でも視察などを行なっていくように致します。」


私の言葉にベアトリス様は笑って頷いている。


「クレアさん、人任せとかじゃないのよ。そう思わせてしまったならごめんなさいね。任せられるところはどんどん任せて良いと思うわ。あなたは真面目すぎるのね。今のままではあなたを知る人はあなたの周りだけ。逆もまた然りよ。あなた達の捉えた問題点が、民にとって問題だとは限らない。あなたがいかに良き施政者であっても、民にそれが伝わらなければ不満ばかりが募るわ。事業を拡大するにあたり、それをきっかけに視察などを積極的に行うと良いわよ。あなたの目指すゴールドガーデンを、あなただけの理想で終わらせないように。あなたの素晴らしい理想を民にも伝えるべきだわ。」


良い意味で衝撃を受けた。

確かに私や私の周りだけで理想を目指すのは難しいし、それでは結局私の独りよがりなものでしかない。

実際に皆が何を思い、何を考え、何を望んでいるのかを知らなければ。

『みんなの為』とずっと思って頑張ってきた。

でも、もしかしたら私は間違っていたのかもしれない。

みんなの為ではなく、私の偽善や自己満足なのかも。

皆が私の成していることを望んでいたか?

それを問うてみたことは無い。


「ベアトリス様、私はこれから民のために成すべきことをもっと多くの意見も取り入れながら成そうと思います。その意見の中でも特に民の心を最も大切にできるように。私の自身が民と直接やりとりして、みて、きいて、感じて、考えて、より良い施策となるように。」


ベアトリス様は微笑みながら頷かれた。


「そうですね。ただし、無理はいけませんよ。あまりにも民の言葉ばかりを聞きすぎると、適切な取り組みができませんからね。民の声、報告や、噂、あなたの見たことや感じたことをよくよく周りの方々と相談すると良いでしょう。我が家は皆あなたの味方よ。客観的な意見が必要でしたらいつでもご相談くださいね。」


皆様が頷きつつ、あたたかな優しい目で私を見つめてくださる。


あぁ、こういう感じなのだろう。家族というのは。

あたたかい。

テッドやオリバー殿たちとの団欒でもこういうあたたかさを感じていたが、ここでの今はそれ以上に家族とはこういうことなのだろうと『思い知る』とも言えるレベルだ。


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