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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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「お父様が…」


胸が熱くなる。

私には両親の記憶など無い。

でも、セドリック様やベアトリス様の中に生き続けるお父様を知ることができる。

それだけでも嬉しいのに、お父様と私は考え方が似ているようで更に胸だけでなく目頭まで熱くなりそうだ。


「アーノルドはね、『僕は将来ゴールドガーデンを背負って、そこに暮らす人々を守らなければならない。肩書きだけだはダメなんだ。僕にはみんなを守れる力を付けなければならない。だから学ぶんだ。先生だけじゃない。こうして君たちからも学ぶことは多いんだ。色々な人がいて、色々な考え方がある。何を思い、何を求めるのか、それを理解して実現するにはどうしたら良いのかを考えなければならない。だから学ぶんだ。私の頭が空っぽでは何もできないし、誰も守れないのだから。』みたいなことを言っていたよ。ただ、アーノルドは堅物すぎたな。自分が背負っていくことばかり考えていたと思うよ。でもクレアはそれを広く皆へ扉を開こうとしているのだからね。領主に守られるだけでなく、領民たち自身が考え、行動する力を得られるわけだ。すばらしいことじゃないか。」


お父様はそんな気持ちで学業に励んでいたのか。

ゴールドガーデンを、みんなを守るために。


オードリー様も賛同される。


「そうですね、学びの門扉を開くことは実はとても難しいと思います。農民などの体を使う仕事の方や女子は特に学は不要と考えられがちですから。費用などのこともありますし、だからこそ先に経済を優先した改革をなさっているのでしょうけど。領民たちの意識を変えていくことは中々難しいでしょうが、クレアさんなら皆さんを納得させることができそうですね。」


イーサン様の言葉を聞いて、ベアトリス様に質問される。


「クレアさん、民とはどのようなタイミングで交流を持っていらっしゃるの?トップだけでなく、大人も子どもも、みんなよ。」


「今のところは特にそうした交流の場を設けることができていません。ベアトリス様は炊き出しですとか、様々な活動からも交流がおありのようですね。」


エレナから聞いた話しでは普段から慈善事業をなさっているということだったはず。


「みんなの気持ちを変えることはとても難しいことよ。あなたの理想を押しつけられると捉えられるかもしれない。でも普段からあなたの人柄をみんなが知っていれば、あなたの理想を共有して、みんなで同じ方向へ向かって進んでいくことができるわ。視察とか色々な名目を付けて実際に民と触れ合うと良いと思うのよ。報告で聞くことだけでなく、自分で見て、聞いて、感じたことというのは何よりも確実なことよ。」


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