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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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「金の鉱脈については国への報告を怠ったこと、脱税にもなりますし、もはや私は罪人となるかもしれません。ペリウィンクル商会も。ですがそうするといよいよブルーベル様の治療費を捻出できなくなるどころか、身の回りのお世話すらままならなくなるでしょう。それについては対応をどうすべきか…答えが出ません。国全体の金の価値も混乱させかねない。重罪とまではいかずとも罰せられるはず。その時はクレア様を頼るようペリウィンクル家には通達してもよろしいですか?」


マンドレイク殿はブルーベル様の診察を見届けてから国への報告を行うつもりのようだ。

報告義務違反、脱税、不正取引など複数絡んだ罪がどう裁かれるか。


「マンドレイク殿もペリウィンクル家もとなればブルーベル様は当方でお預かりさせていただきましょう。私は数日後国王陛下ご一家とお会いする予定があります。そこでそれとなくお口添えさせて頂きます。それぞれの事情を。私欲のためではなく、皆が病に立ち向かうために必要であったと。」


マンドレイク殿は涙ぐみながら頭を下げた。


「ありがとうございます。その時にはクローバーストーンの採掘・加工に関する権利を没収されていなければブルーベル様の療養期間中という契約でクレア様へ譲渡致します。厚かましいとは思うのですが、ブルーベル様がご回復されたらばブルーベル様へお譲りください。あの方には何も残らない可能性すらあるので、せめて何か今後のためのものを残して差し上げたいのです。」


そこまで深く想われるブルーベル様はとてもお幸せなのだろうなと思う。

誰かを愛すること。

相手からは愛されているかわからなくても、見返りがなくても、相手のために全てを投げ打つ覚悟。

私には未だ経験のない感情と行動だ。


エレナの話しのマンドレイク殿は随分と傲慢でずる賢いように感じたが、愛ゆえに必死だったのだと今ならわかる。

エレナも似たようなものだ。

ハオマのためなら冷静ではいられない。


誰かのためになる『仕事をする』という程度にしか私の行動は広がらない。

仕事ではなく、損益を考えずにただ突っ走るように行動する日が私にも来るのか。それが恋愛でも、友情でも、仲間でも、理由は何でも良い。

がむしゃらに。


「マンドレイク殿、あなたのお気持ちは充分伝わりました。そのように私もできるよう尽くします。まずはブルーベル様の診察ですね。私が王城へ上がるのは3日後。あまり時間はありませんが、できるだけ早くレティシア殿に往診へ来ていただけるよう交渉いたしますから。」


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