247
デザートやお茶なども配り終え、エレナは一旦下がる。
マンドレイク殿は、今後もハオマに売るための薬を作らせたいがためにハオマを取り戻したいのか、ハオマよりもブルーベル様をどうにか治療したいからハオマを取り戻したいのか、本心はどちらにあるのだろう。
もしブルーベル様の力になりたいと言うのが本音なら、案外悪い人ではないのだろう。疑いでしかないが、毒を盛ったなどの悪事とは無関係なら。
ハオマやアシャに対しての今までのことを考えても、根は良い人なのかも。
ハオマの薬を横流ししてたのも、マンドレイク商会またはブルーベル様の治療のための資金繰りなのかも。
そんなことすら考えてしまう。
「マンドレイク殿、明日にでもレティシア殿へ往診の依頼を出します。それに際し、支払いはマンドレイク商会でよろしいですか?」
あえてマンドレイク殿が背負えるのか確認することにした。
少し考えてはいるものの、意を決したようで前を向かれる。
「はい。よろしくお願いします。責任を持って当方で対応いたします。ペリウィンクル商会とも今後については交渉して行きますが、行き詰まってしまったときにはクレア様へご相談させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「もちろんです。これも何かの縁。私でできることがあればお力になります。もちろんお互いにビジネスの関係を持ってしてということでよろしくお願いいたしますわね。」
「ええ、是非。ハオマ、済まなかったな。お前には余計なプレッシャーをかけてしまった。取り乱したりもしたし、さぞ不安にさせたよな。今後についてはアシャとも相談して決めるといい。もし戻ってきてくれるなら待っているから。お前たちが決めたことを応援するよ。せめて今後は時々手紙でもくれると私も嬉しい。アシャにもよろしくな。」
マンドレイク殿はこちらが言う前にハオマにも謝罪して今後のことは自分で選択するよう声をかけてくれた。
マンドレイク殿のことはまだよくわからないが、やはりそれほど悪い人では無いような気がする。
「マンドレイク殿、少しだけ私と食後のお茶にお付き合い頂けますか?」
「はい。喜んで。」
皆に目配せし、私はマンドレイク殿と2人きりになった。
エレナにお茶を淹れてもらい、エレナも退室したところで、マンドレイク殿とお話をはじめる。
「お忙しいのに引き止めるようで申し訳ございません。マンドレイク殿のことはハオマからも聞いています。とても良くしてくれたととても感謝していましたわ。それなのに今回逃げるようにここに来たと言うことを私は不思議に思っているのです。単刀直入にお聞きしますが、差し支えない範囲でブルーベル様の今までの経緯や、ハオマと何かあったのかなどお聞かせ頂けますか?もちろん下手に首を突っ込むつもりはございませんのでお話しいただける範囲で結構です。」
ハオマからは良い話ししか聞いていない体で話しをする。




