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「本日ご用意させて頂きましたデザートは、わがゴールドガーデンのフレッシュなハーブの花や実を使った爽やかなムースです。お茶も同様にゴールドガーデンで栽培したオリジナルブランドのお茶です。どうぞご堪能くださいませ。マンドレイク殿ももしお気に召してくださるようでしたら今後の取引にぜひ名乗りを挙げて頂きたいものですわ。」
私が沈黙を破ると、マンドレイク殿も少しホッとした表情で席に戻られた。
エレナがお茶を淹れている間に、話を戻していくことにした。
「マンドレイク殿、先程のオリバー殿の意見ですが、私は賛成です。現状維持では何も解決に向かいませんし、このままではその方のためにもなりませんもの。その方のためにも長い目で見て医療費と今後の利益を相殺できるなら今医療費にお金をかけるのは『投資』ではありませんか?マンドレイク殿で支援はできないのですか?何かを担保になさればマンドレイク殿の損失にはなりませんでしょう?損得なしにご支援なさるのなら尚更ご立派ですけど。もし担保となるものがおありでしたら、私が医療費を肩代わりすることもやぶさかではありませんけど。」
エレナにも伝わるか伝わらないかのギリギリのラインで話しをまとめつつ促す。
ここまで費用面なども解決できそうな話の流れで、マンドレイク殿がどのような方向に話しを進めるのか。
「…そうですね。マンドレイク商会としては長年のお付き合いのこともありますし、ぜひご支援を申し出たいところなのですが、何分この治療の結果が伴うのかがわかりかねる状態での支援はこちらも前向きには考えられないというのが現状ですね。1度専門医への診察をということでしたね。その結果を確認してから支援について検討するということで良いかとは思います。どなたかこうした奇病についてご専門のお医者様をご存知でしょうか?」
実はマリー殿へ主治医について調べていただく中でトリフォリウム病の専門家は国内にいないのかも調べて頂いていた。
「実は王都に女医でレティシア・ライサンダーという方がおられます。診療の合間に疾病の研究をなさっているそうです。王立病院でも研究のため研修と言っては頻繁に奇病の患者様の診察に赴かれているそうです。彼女は研究のためなら金銭に固執しないと聞いています。もしかすると、それほど費用の負担なくご診察いただける可能性があります。」
王都での彼女のあだ名は『探求者』。
研究することで答えを導き出すことに究極の喜びを感じているからだと。
金銭に頓着せず、研究に没頭することもあるのだとか。




