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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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少し早めの夕食を、オリバー様とマリー様も共に、クレア、私、ハオマ、アシャ、ダン、ハルバードで例の話も聞きながらとることにした。

もちろん、彼らの今後の話しも決めていく。


「ハオマ、マンドレイクのことなんだけど、彼があそこまで必死になる『ローズ様』って誰なの?領主様?』


ハオマはアシャの顔を見ながら、少し話しづらそうに語り出す。


「まず、マンドレイクは最近僕の薬を金持ち相手に高値で売っていたんだ。僕も屋敷に置いてもらってるし、役に立てるならとたまにの依頼だから応じていた。ところが、最近になってからは様子が変わってきたんだ。『ローズ様』という方と何やら取引を始めたみたいなんだ。その取引というのが何なのか気になって、マンドレイクが酒を飲んでいる時に聞いたことがあるんだけど、クローバーストーンの採掘のときにたまたま金の鉱脈を見つけたらしい。それを流すのにローズ様という方に仲介してもらって捌いているらしい。シャムロックで加工する分以外を売って利益を上げていたそうだけど、金が採れることを国に報告していないんだ。税金で取られたくないんだって。なのに最近になってそのローズ様が病に倒れたそうだ。それで流通させるのに裏ルートでしか流せないからそのつてが無くて困ったみたい。だから早くローズ様に回復して欲しいんだって。金なんてすぐに売らなくても良いだろうに、何故かすぐにお金が必要なのか何なのか。早く売り払いたいみたいなんだ。僕の知る限りではローズ様の正体はわからない。わかるのは、『トリフォニウム病』だと言うこと。陽気になって窓とかから飛び降りてみたりと奇行を繰り返す。それで怪我だらけで痛みがあるんだ。トリフォニウム病特有の繰り返す発熱と解熱。アカツメクサが名前の由来なんだけど、高熱と、それによって何故か顔だけ赤くなること、花言葉の善良と陽気というように熱のせいで素直な受け答えしかできないことと、熱にうかされて陽気になり奇行を繰り返す。今のところ治療法は確立されておらず、対症療法で症状が治るのを待つしかない。だから僕の薬で怪我を予防するために鎮静をかけつつ痛みを緩和するための鎮痛の作用と、熱を下げる解熱作用、それらの効果のある薬を作れと言われていたんだ。でもそんな作用の薬を使うなら、副作用に気をつけて慎重に与薬しなければならないのに、薬だけ作れと迫るんだ。下手したら鎮静が効きすぎて呼吸が止まったりする可能性だってあるのに。だから直接ローズ様に合わせて欲しいって言っているのに、そこは頑なに断られた。だからローズ様が誰なのかも知らない。わかっていることは、金の売買に携わっていることと、病のために療養中の方であるということだけ。」


ハオマがそう語ると、皆で『ローズ様』について考える。


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