222
驚くほどに追手やトラブルに遭遇せず、無事ゴールドガーデンに到着した。
クレアにみんなを紹介し、ハオマ兄弟とダンのことを歓迎してくれた。
今日はハルバードもゴールドガーデンに滞在して、夜に歓迎会をすることになった。明日か、明後日にハルバードもエルム村に戻るそうだ。
当分はハルバード以外は城に滞在することとなった。
ダンについては私の弟ということであれば、父に養子縁組を相談したら良いし、ディアス家が男子が居ないため養子として(クレアの弟として)迎え入れても良いと言ってくれた。
ハオマたちは独立した世帯としても良いし、領内の信頼のおける方の庇護下にと相談するのも良いと。
ともあれ、夜にハオマにマンドレイクについての話しを聞くとともに、それぞれが今後をどうしていきたいかを確認することとした。
ハルバードにはその結論までを見届けてもらうということでの滞在をお願いした。
マンドレイクのことは謎が多い。
ハオマを縛り付けて利用しようとしていたのは許せない。
でも、当初はこの兄弟を純粋な気持ちで見て、力になろうとしていたのだろう。まさか初めからこうして利用するつもりでいたとなると、マンドレイクの狡猾さをみくびっていたことになる。
私が感じた印象は、とても商才などの非凡さは感じられない中年男というものだが。
現に私たちを見張りも付けずに易々とゴールドガーデンへ向かわせ、追手も送らず目を離しているし。
ハオマたちが帰ってくるという自信でもあるのだろうか?
小狡さはあるが、賢さは特に感じないし、本当に謎だ。
そのうちゴールドガーデンに乗り込んでくるのではないかという懸念はある。
まずは全員、軽食を摂ってゆっくり休むことにした。
そうそう、お土産のクローバーストーンはハルバードが選んだにしてはかわいらしい首飾りで、四つ葉のクローバーのようなハートが四つ重なった形のペンダントトップのものだ。
深い緑の中に、光が透けて輝く。
派手な装飾はなく、クローバーの葉を模した形の石。
首飾りの留め具が洒落ていて、チェーンの終わりが小さな銀細工のシロツメクサになっているのだ。
だから留め具は後ろに回さなくても、前でペンダントトップの横に残したままでもかわいいデザインだ。
こういうデザインはデザイナーがしていたのだろうか。
マンドレイクが考案していたとしたら、そういう才能はあったのだろうと思う。
マンドレイクの商会でなければクローバーストーンの加工はできない秘伝の技術。
始まりは彼一人でスタートしたのだろうし、腕の良い職人だったのか。
今後のことが不安ではあるが、私が連れてきた3人が今後について自己決定をし、それを支えられるようにしたい。




