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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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すると別の40代くらいの男性が無言で挙手している。


「では次にゴードン卿、どうぞ。」


議長に指名されると立ち上がる。

ゴードン卿と呼ばれた男性は、3拍ほどおいて口を開き、気難しそうに答えた。


「僭越ながら一言。爵位は改めて上の位に上げられるもの。伯爵位からでも功績次第で侯爵どころか公爵まで上り詰めることもありえるのではないか。」


そう言うと速やかに席についた。


「私も」


と挙手したのは月のように輝くおからだをお持ちの中年男性。


「ではフェルナンド男爵。」


お月様もとい、フェルナンド男爵はあからさまに私を睨みつけている。


「はっきり申しますと、片田舎のポッと出の若造に爵位だなんて畏れ多いことだと思います。いくら元の家柄が伯爵家であってもです。なんなら辺境伯程度でも良いくらいだと思いますが。今後の功績を見て位を与えていくという方向で良いと思います。まだ領主となられて1年と経ちません。時期尚早ではございませんか?」


次々に意見が出される。

一通り意見が出た。

1人否定的な意見が出ると、堰を切ったように反対意見ばかりが出る。

しかし、伯爵位以上という国王陛下の決定がある為少なくとも伯爵にはなれるようだ。

今のところ私は伯爵で十分だと思っている。

父の作ったゴールドガーデンとディアス家に近づけるのが目標だから。要は復興。

経済面では父の功績を上回りつつあるようだが、領民との関係性などはまだまだ。

父の娘というだけで尊重されているに過ぎないのだ。

私自身を認めて、信じてくれているわけではない。

あくまでも「アーノルド様の忘れ形見」として。

まっさらな状態から関係を築くよりは領民の心を掴む条件があるのは私にとってプラスである。

これから私自身の考えや行動によって更に良い関係を築いて善政を敷き、益々発展させていく。

ゴールドガーデンの皆が幸せならそれが私の恩返しであり、生き甲斐だ。


ある程度意見が出たところで投票に移った。

開票作業と同時進行で次の議題に移った。


税についてだ。

「昨年は春には天候に恵まれ豊作であったが、夏から秋にかけての干ばつにより農作物が不作であった。冬には干ばつも解消されて少しは取り返したが、農村の生活水準としては今年は慎ましく生活せざるを得ないという。そこで今年の税制についてどうするのが妥当かの意見を出して欲しいと財務大臣より依頼があった。意見あるものは?」


まだ30代前後くらいの若い男性が手を挙げる。


「ムスカ殿どうぞ。」


若い議員の発言はどのような提案となるのだろう。


「ありがとうございます。我がムスカ商会は衣類や機織りものを取り扱っております。しかし、干ばつの影響により養蚕も綿の栽培もままならずに織物も満足にできませんでした。したがって、衣料品なども製造が満足にできていないと言うことです。農家のみならず養蚕、工業など多くの分野で損失となったのです。ゴールドガーデンに倣い、国庫の状況を確認して減免制度を作り、一部の富裕層からは通常の税を納めさせ、一般市民の納税は業種や収益から妥当な税率を検討するのが良いかと思います。不当な取り立てにより国民が餓えると決まってろくな結果に繋がりませんので。以上でございます。」


ムスカ殿はおそらく貴族ではなく、議長に言わせるところの「成り上がり」なのだろう。

私の政策を認めてくださっているようだ。

この政策では貴族から税を取らざるを得ない結果となる為、この議会では承認されないだろう。

私としてはかなり良い施策であると自負しているのだが。政策を施行するにあたり、特に反発されなかったのは、私の相談相手となる部門担当者たちに貴族がいなかったからだろう。

貴族だとしても未来のことや国民との関係性を築く上でも国民を重んじる政策は励行すべきだと思うのだが。


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