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一通り私の近況までを話し終えた。
「ねぇアシャ。私があなた達と過ごした時間は、私の中で1番輝いている『思い出』なの。あなた達からたくさんのことを学んだわ。それが今も私の中で活きてる。あなた達が元気で暮らしていることもわかってとても嬉しくて、それで会いに来たの。でもね、私にはそんな大切な時間だったけど、アシャ達には私はどんな風に感じていたのだろうって不安だったの。小金持ちの気まぐれとか、嫌味とか、結局何もできなかったことも、恨まれてたり、憎まれたりしているのかもしれないって。突然お別れも言わずに居なくなっちゃったから尚更ね。でもさっきのアシャの言葉でそうじゃないことがわかって、私は救われたわ。私が私へ抱いていた怒りも、大好きな2人から恨まれてるかもって不安も、私の自己満足に過ぎなかったことも今に繋がってるって言ってくれたあなたに救われたわ。ありがとう。また友だちとしてこれから過ごしてもらえるかしら?」
涙ぐみながら言う私の言葉に、アシャもうっすらと涙目になりながら、私の手を握ってくれた。
「僕たちのために色々悩ませてしまったんだね。僕たちはずっとエレナの友だちだよ。今までも、これからもね。僕も兄さんもエレナのことを忘れたことは無いよ。いつかまた会いに行きたいねって話してたくらい。だけどもうエレナの家にはエレナは居ないってわかって。だから会いにきてくれて嬉しいよ。本当にありがとう。」
お互いにありがとう合戦をしているうちに笑顔になり、とうとう笑い出した。
「兄さんももうすぐ帰ってくるよ。今日は少し早く帰ってくる予定って言ってたから。」
窓を見ると西日が差しており、アシャとかなりの時間語らっていたのかを知る。
アシャとダンは年が近いから、もしかすると今後友だちになれるのではないかと思う。
私だけでなく、みんな繋がって、それぞれに良き友として支え合えたら素敵だな。
「アシャ。エレナが来てるって聞いたけど。」
ハオマがとうとう帰ってきたようだ。
応接間に入ってきた彼は、私の中の彼よりも背も伸びて、筋肉も付いた体格の良い精悍な青年となっていた。
優しい目は変わっていない。
「久しぶりね、ハオマ。元気だった?」
声をかけてから、返事も待たずに無意識に抱きついてしまった。
「会いたかった。」
そう言うと、ハオマは私を抱きしめてくれた。
「僕も会いたかったよ。数年会えなかったけど、君のことを忘れたことは無いよ。」
何だかとても色男っぽいことを言ってくれてるけど、ハオマは愚直な程に真っ直ぐだから、素直な本音なのだろう。
「明るいうちに帰ってこられて良かったよ。エレナとたくさん話をしたいからね。今日は四つ葉に宿を?」
「ええ。護衛と連れがいるの。日暮れに一旦門の前に集まることにしているけど。でもハオマが良ければそのあとまた話したいわ。」
「もちろんだよ。いつまで四つ葉にいられるの?」
「明日の昼ごろに発とうと思っているの。私、今はゴールドガーデンにいるのよ。王都よりは近いわね。」




