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やはり特に問題も無く、四つ葉の検問所を通過した。
商業が益々盛んな地区だ。
金持ちが多く暮らすこの四つ葉では、比較的揉め事は起こらない。
ここで暮らしているということは、今は豊かに暮らしているということだろう。
少なくとも、食べるものには困ってはいないと思う。
三つ葉と四つ葉では、家賃が1.5倍ほど違うのだ。
二つ葉は四つ葉の半分か、もっと安いし、一つ葉はドヤ街とも言えるほど。
地図を頼りにハオマたちの家を探す。
この地図が正確ならば、四つ葉の中でも中心に近い所だ。
ただ、中心地は店舗やクローバーストーンの加工所などの商業がメインで、居住区や宿泊施設は四つ葉の外側の方に集中している。
中でもクローバーストーンの加工は門外不出であるため、四つ葉の真ん中に厳重に警備された加工所で行われている。
なぜハオマが居住区ではなく中央にほど近い所に住んでいるのかは謎だが、そもそもが地図の場所が『家』であるとは限らないため考えないようにしよう。
「エレナお姉ちゃん。僕ね、四つ葉って初めてなの。道も綺麗だし、暴れてる人も居なくてみんな楽しそうだね。」
ダンがキョロキョロと辺りを見渡し、目を輝かせる。
「そうだな。三つ葉よりは治安も格段に良いし、住んでんのも商人が中心で割と小金持ちが多いんだ。よく他所から仕入れに来るくらいには賑わってるぜ。」
「ふーん。何でさ、四つ葉がお店とかの場所なの?一つ葉をお店にした方がさ、シャムロックじゃないとこからの人がお買い物しやすいでしょ?」
ハルバードの言葉にダンが素朴な質問をした。
やっぱりダンは賢いなぁと姉バカ?が発動している。
2人のやり取りを微笑ましく見ていることにする。
「坊主中々鋭いなぁ!そうなんだ。ここに来るまでに町をたくさん通らなきゃいけねえな。だがな、この四つ葉にあるクローバーストーンってのは、そんだけ貴重なんだってことだ。簡単に手に入れられねぇ。あとは石で何かを作るのにな、特別なやり方があんだけどよ、それは誰にも教えちゃくれねえんだ。だからやり方を覗き見されたりしないように、一つ葉とかを噛ませて、容易に立ち入れねぇようにしてんのさ。」
ハルバードって意外と説明が上手いじゃない!
ダンは理解できたかしら?
「じゃあさ、一つ葉や二つ葉、三つ葉が四つ葉を守ってるってこと?」
おお!ちゃんとわかってるみたいね。
お姉ちゃん嬉しいわ。
「そう言うこった!みんなで四つ葉を守ってんだ。」
「でもさ、せっかく四つ葉でクローバーストーンを買ってもさ、帰りに盗られちゃうんじゃない?」
新たな疑問が湧いたようだ。
「そうだ。そういうこともある。それはそいつの運が悪かったってことだ。だからエレナも俺みたいな傭兵を雇ってここに来たんだ。護衛のないやつはカモにされっかんな。盗られることもある。盗んだやつはな、また四つ葉に返すんだ。正確には転売ってことで売って、店はまたそれを売るんだ。元々を客に100アスターで売るとすんだろ?ゴロツキから買い取るのは10だ。それでまた100で売るんだよ。ゴロツキもタダで仕入れて10アスターになれば儲けもん。店もボロ儲け。そうやってシャムロックは成り立ってんだ。」




