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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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にこやかな笑顔で受け答えをしてくださるトラバース殿。

「はい、まず議員数は40名です。選出は基本的には高齢でご隠居なさるですとか問題を起こすなどで退職されるまでは議員を続けます。空席を埋めるのはご引退される議員の推薦した者で、かつ、議会の承認わ得た者です。不祥事などで懲戒となった場合の議席は、議会で推薦者を立てて適任者を検討します。もちろん推薦の場合は相手が望まぬ場合もあるため第二、第三の候補者まで挙げます。」


かなり力のある議員が更に力を付けていけそうな制度だ。高齢での引退ならば一族で世襲させることもできるだろう。有力な議員が推薦すればおそらく可決され、更に力を伸ばす。

それについては何か対応されているのだろうか?


「身分でしたり、職業のしばりはございますか?一般市民が議員になるということも可能なのでしょうか?あとは力関係もかなり決まってしまい、決議の際などは問題となりませんか?」


トラバース殿は人の良さそうな笑顔を崩さずに紳士的に受け答えを続ける。


「クレア様、一般市民に議席を与えてどうなるのですか?人の上に立つ知識もマナーも無いのに力だけ与えるのは、無法地帯となりかねませんよ。身分や職業の規定は特にはございませんが、慣例的には貴族が議員を務めることが多いですね。まれに成り上がった商人

も議席を得られることもありますが、商売が立ち行かなくなれば即座に席を失う。きちんと政治や経済を学んだ貴族が議員となることが適切です。決議では投票制度としています。投票数が全体の3分の2で採択されます。誰が賛否どちらへ投票したかはわからないため、特に不公平はございますまい。一般の傍聴もできるよう制度を整えております。これほど公平な議会もまぁ中々無いでしょう。」


得意げにさも当然とそう言うトラバース殿とは価値観が合わないようだ。

教育などの面については確かに知識が無いよりはある方が良いが、トラバース殿の話しだと貴族でなければ教育を受けられないともとれる。

何より、金と権力で議会を運営しているようにしか思えない。

投票制は良いと思うが、事前に票の売買すらあり得そうだと思うのは私の考えすぎか。


「では議会の議長の選出方法や他の役職はどういったものがありますか?それぞれの選出についてもお教えいただけますか?」


最早先程までの期待感は無いが、確認すべき事項は確認する。

具体例として良くも悪くも参考になるからだ。


「議長は議会で議員の中から立候補者や推薦者を募り、その中から投票を致します。得票数順に役職をつけます。議員は変わらずとも、役職は5年ごとに更新致しますので、議長をはじめ、役は変わる可能性もあります。役は議長以下、副議長、書記長、書記官、主任会計官、2人の会計官、広報官、2人の開票官の10人です。他は役職無しの議員ですので、議論する内容を取りまとめて提起したり、資料をまとめたりなど分担しています。分担は30人で大きく分けて医療、福祉、財政、労働、防衛の5分野をこちらも5年ごとに担当を変えて配置しています。各担当官はそれぞれの分野の大臣たちとも情報や問題を共有し、意見を募り、資料を作成して議会にかけます。答弁には各分野の専門家が招かれることもあります。」


定期的に更新されるのは力を分散させるのには良い制度だろう。しかし、せっかくその分野の知識が充実した頃に交代となれば本当に良い議論ができるのだろうか?長く議員を務める場合は様々な分野の知識が身についているのだろうが、古い知識が現状に役立つことばかりでは無いだろう。


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