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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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仕方ないが、とっておきを出そう。


クレアに手紙を書いてもらったのだ。

『ゴールドガーデン領主クレア・ディアス伯爵は、侍女長エレナへローズガーデンシャムロック地区にしかない貴重な宝石クローバーストーンを入手するよう命を下した。これを妨げるものは、ローズガーデン領主への苦情を申し立てるものと心得よ。』

と、半ばただのわがままお嬢様風の内容の手紙だ。

クレアがこんなこともあろうかと作戦を立ててくれたのだ。

そして、本当にお土産にクローバーストーンを買えるように十分な予算を持たせてくれた。


門番たちが顔を見合わせて悩んでいるため、畳み掛ける。


「あなた方の所属とお名前を伺いたい。クレア様の命を果たせずにすごすごと帰るわけにはいきません。手紙にあるように苦情を申し立てます。」


毅然とした態度でそう言うと、流石に自分の名前で苦情を入れられるのは嫌なのだろう。

小娘ならば害は無しと相談しているのがまる聞こえだが、それは大目に見よう。


ハルバードの力を借りずに乗り切れた。

と言っても、ハルバードが言っていたことをマネしただけだが。

あとは私の力ではなく、クレアの力は借りているが。


無事に関所を通過し、労働者の町、二つ葉へ。


治安はそこそこに、日雇い労働者が暮らしている。

労働者の町とは言っても、クローバーストーンの加工はここではなく四つ葉で加工して販売している。

通常の力仕事のような日雇い労働を担い、朝からそれぞれの班に分かれて領内へ派遣されるのだ。


皆何日もかかる仕事場を選びたがる。

派遣日数が多い方が報酬も高く、しかも期間も長く働けるため明日の暮らしに困るリスクが減るのだ。

朝の班分けも、希望する仕事場をブロック分けし、そこに早いもの勝ちで並ばせて、定刻になると締め切って仕事場へ向かうのだ。

今は時間的に夕方に近く、大半の労働者たちはまだ戻っていない。しかし、休日として町に残っている者ももちろんいる。


油断しないように気を張らねば。

ハルバードがいるとは言え、私の不用意な行動などで隙を見せてしまうとハルバードも危険に晒してしまうから。


せめて暗くなる前に四つ葉に到着したい。

二つ葉は大半は仕事で不在のため静かかと思っていたが、意外と明るいうちから飲んでいるのか所々で賑やかしい声が聞こえる。

中には殴り合いの喧嘩も。


さっさと通過して次へ進むことに専念する。


今のところは順調に進んでおり、こんな表通りで馬鹿騒ぎをしている輩はいない。


が、すぐ脇道に入ればもうそこは祭りが開催されているようだ。…もちろん皮肉だ。


労働者の家族なのだろう女性や子どもがちらほらと表を歩いている。


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