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「私は彼女に『最大限のおもてなしを』と指示しただけなのです。彼女は自分でできる貴方への最大限のおもてなしを実行したのです。私はまだまだ経験不足です。領主としてまだまだ至らないことが多いのですが、私の周りには優秀な方がたくさんいてくださるのでいつも助けられています。ですので私もより皆様の生活が豊かになるよう、皆様のためになれるよう施策を進めています。ヴァノア様が良しと思ってくださるのならば、どうかお力をお貸し頂けませんか?議会の議員としてが叶わぬのなら、何かの折にご相談させていただきたいと思っております。」
そう言うとヴァノア様はまた微笑まれた。
「そうですね、クレア様は皆のことをよく考えていらっしゃるからこそ皆がクレア様を助けたいと思うのでしょうね。クレア様、今後ゴールドガーデンをどのように治るおつもりですか?」
「議会が運用できるようになれば、殆どの事業はそれぞれに任せ、私は最終的な承認をしていくようになるのでしょう。次にやろうと思っていることは、生活する上での規範を作ることです。身分や立場によらず、平等に物事を見るための法、規則を定めたいと思います。誰もが暮らしやすくするために。ゴールドガーデンの農業などはすでに改革中です。今後はハーブ園を作り、観光地としても、運用したいと思います。また、本日お出しさせて頂きましたハーブティーはその試作品です。オリジナルブレンドのハーブティーを売り出し、菓子なども同時に売り出し、ハーブ園の隣には喫茶店でお茶、菓子、料理を提供できるように施設を整備します。染料やオイルも製造し、加工してゴールドガーデンの特産とすることも計画しております。そうしてゴールドガーデンが豊かになれば、学校を設立したいのです。各村に1つは学校を作り、等しく教育を受け、将来の選択肢を広げたいのです。子どもたちには与えられたレールだけを進むのではなく、自分で新たな道を作ることのできる人になって欲しい。子どもたちを全員学校へ行かせるためにはまずは子どもが働かなくてはならない現状を改善しなければならないと思います。ですのでまずはこうしてゴールドガーデンを発展させていきたいと考えています。」
私の答えをどう思われるだろう。
少しの不安はあるが、これを曲げるつもりはない。
「クレア様の最終的な目標は、人々が自身で人生を切り開き生きていける環境を作ることということでしょうか。子どもたちがもし『勉強よりも早く働きたい』と希望したらどうしますか?」
「最低限の読み書き、最低限の学習要項はまとめ、それは必須とします。働きたいことは良いことです。早く働きたい者は努力して早く履修して卒業すれば良いのです。やらなければならない最低限を守ることのできない者は、人生においてその後を切り開くことはできないでしょう。働きながら履修するでも良いと思います。とにかく、学があって悪いことはありません。最低限の教育は受けて、その後の人生は自分で決めてもらえば良いと思います。」




