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翌日、早速方々へ文を出し、面会に備えた。
テオドール・ヴァノア様がいついらしても良いように応接間を整え、エレナにとびきりのゴールドガーデン産のハーブティーやお茶菓子を用意させる。
花瓶にもそっと庭の3種類のハーブを挿す。
ヴァノア様はナイトとして叙爵されるほどの剣の使い手であった。
数年前怪我により一線を退いて内勤されていたが、その後主に武器を取り扱う商業で成功された方だ。
同じく騎士爵のレオン・ヨーク様も同じく剣の名人で、国王陛下の親衛隊の副隊長にまでなられた方だ。
兵士や貴族の平民に対する横暴が許せず、数年前に辞職されたそうだ。
その後は屋敷で道場を経営し、国の剣となり盾となる人材の育成に励んでいらっしゃるそう。
キース・マクレガー様は準男爵の家系で、ご本人は城勤をされていた。国内外の外交に関するお仕事をされていたそうだ。
数年前にご長男が家督を引き継ぎ、ご本人は隠居生活をされている。
ヘンリー・ハワード様は、かつては父と共に領地経営に携わっていたそうだ。オズワルドへ代替わりした際に追い出され、以降は商会を立ち上げて商家として成功された。
フレデリック・スチュワート様も同様だ。父と共に働き、オズワルドにより立場をおわれ、現在は領内の物資の輸送を担う商会を経営されている。
それぞれの情報を大まかに把握し、あとはご本人との会談で直接伺っていく。
特に、ハワード様、スチュワート様は父と共に働いていらしたということで世間話的に父の話しを聞けるのではと少し期待している。
皆さまそれぞれにお忙しいので、家業が何とかなるのであれば是非選挙にも出て頂きたいし、それが叶わずともコネクションを作ることで今後のご相談やご協力も可能かもしれない。
今までご挨拶もできていなかったことが申し訳ないくらいだ。
婚約パーティーでも国内の主立った方々のみだったし、せめて領内の貴族は爵位によらずお招きさせて頂けば良かったと後悔している。
そうしておけば顔見知りにはなれていたのに。
色々と至らない自分を改めて反省するが、これからはもっと社交上のことも仕事の上で重要だと再認識できたのでこれから挽回していこう。
お茶の時間の少し前くらいにヴァノア様の先駆けがいらして、あと半刻程でご到着予定とのことだ。
エレナへお茶はヴァノア様がいらしてからでと伝え、執務をすすめる。
ヴァノア様がいらしたら応接間へお通しするよう伝えた。
本当は今からでもお出迎えのために門の前に立っていたいくらいだが。
エレナに自分より身分が上の方ではないためそこまでの歓迎はかえって相手に気を遣わせてしまうのでは、とアドバイスを受けた。
確かに騎士でいらっしゃるのだから上下関係などはかなりお気になさるかもしれない。
ご到着をお待ちして、最大限のお茶のおもてなしをしよう。
男性だけれどお茶にご興味あるかしら?




