167
エレナと他愛のない話をして、楽しい時を過ごした。
もちろん時々は仕事の話を交えながら。
ハーブたちをどう加工するかなどだ。
この情景を絵に描いたり、自宅などでも香りを楽しめるようにしたい。
ハーブティーはもちろん、ポプリにしたり、オイルを抽出したりという案が出た。
あとは染料を作り、染物を行い、衣類や小物などを作るというのも。
そうすると近場に加工場としてそういった設備を備えた施設を作る必要がある。
あるいは委託してそれぞれを別業者にて加工を依頼していくか。それだと輸送費がかかるし、それぞれに支払いも必要なため、生産コストが長い目で見るとだいぶかかりそうだ。初めはそれぞれに加工依頼していくでも良さそうだが。
それぞれについて予算を組んでいく必要がある。
新規に作るのと、既存の染物屋などへ運搬していくのと、見積もりを立たねば。
既存の工房を利用するなら、その契約に応じてくれるのか、新規に作るならば職人を確保できるのか。
まずはそこからだ。
新たに浮かぶ課題の検討すら楽しい。
心が躍るとはこのことだ。
エレナと密に計画を立てて進捗を確認していかねば。
どこまでを私が行うか、エレナに任せて良いかも相談しよう。
夕方の太陽が低くなってきた頃、執務室へ戻った。
心地良い疲労感と、なんとも言えない楽しい気持ちになり、もっと庭でハーブを見たり、収穫したいと名残惜しくなる。
それぞれの葉や花、実を収穫してきたのだ。
まずはハーブティーを作るそうだ。
実や花も乾燥させてハーブティーに混ぜるらしい。
エレナ曰く、『お湯を注いで花が開くようなお茶を開発する』のだそうだ。
ハーブティーを購入する主な客層は若い女性。
お茶会をしたり、1人でもお茶を楽しむのが上流階級の嗜みらしい。
『ガラスのティーポットのなかで花開くお茶』は、間違いなくヒットするというエレナの見立てだ。
ガラスポットも工芸として同時に売り出せば、一石二鳥。
まずは試作品を作ってみるそうだ。
売り出し方もまずは私がお茶会を主催して、そこで披露する。
あとは話題を我がゴールドガーデン領で生産しているものだと宣伝し、土産に渡せばその令嬢が開くお茶会で更に宣伝されるという寸法だ。
そこまでエレナは考えているのだ。
あとは私が上手く立ち回っていけば良い。
もちろん、商品化する際には王室へ献上する。
そこで御用達になれればなお良いし、なれずとも献上品の箔がつく。
そして、エレナが執務室へ手紙を持ってきた。
貴族との面談について、お返事が早速来たようだ。
皆さまお返事が早くて有難い。
上から順に開封していく。
まずは元男爵家のスチュワート家当主フレデリック様からのお返事だ。
明日の昼ごろ来られたしと。
明日の昼過ぎに向かうと先駆けを朝からだそう。




