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優先順位をつけ、やることをリスト化して思考を整理する。
時系列にする事で細かく今後の流れを整理し、それからどうしていくのかを検討していく。
殿下をあまりお待たせするのも(…ゴールドガーデンを訪ねて来られそうだし)、とりあえず2週間くらいをめどにスケジュールを考えたい。
まずは面談をすすめることを優先し、返書による日時を確認してからだ。
空いた日(空けられる日が正しいが)でお見合い?の日程を組もう。
今更だがこれから行うのはお見合いなのか?
すでに顔見知りだし、改めずともお茶するだけで良いのではないか?
お見合いならば私も後見人的な方を同伴せねばならないのか?
誰を?
オリバー殿は『元婚約者の父』だなんて色々とまずいし、私が領地を空ける時には留守をお願いせねばならない。
私1人での登城で良いか確認しよう。
どうしてもダメならば、セドリック様にお願いするしかないか。
私側の事情をご存知なのだから後見人は求めないと信じたいが。
目下の課題は選挙。つつがなく執り行い、施策を安定させていきたい。
領の中枢が機能すれば、私の手から離せるものも増えるだろうし、そうするとハーブ園とかについてももっと話しをすすめていける。
やることリストをびっしりと書き、寝ることにした。
翌朝、朝食前にオリバー殿が訪ねて来られた。
「クレア様、以前お約束していた絵が完成致しました。アイリーン・ディアス嬢の絵です。完成に時間がかかり申し訳ありませんでした。」
すっかり忘れていたくらいに他で頭がいっぱいであった。
緊張しながら絵の包装を解く。
果たして彼女はアイリーンなのだろうか。
それとも別の誰かなのだろうか?
別人であったなら、限りなく私を攫った者たちを捕らえることは難しいだろう。
アイリーンであるならば、素性も姿もわかっている分やりようもある。
アイリーンだとしたら。
従姉妹同士なのになぜこんなに憎まれるのか。
私自身は何もしていないし、何もできなかったのに。
むしろ私こそオズワルドやアイリーンたちに色々なものを奪われた被害者だと思う。
私は寂しさや虚しさ、羨ましさはあったし、今でもあるが、彼らを憎んではいない。
幼い頃ではなく、極最近の姿のようで、年頃は私と同じくらいの少女が描かれている。
「クレア様、いかがですか?」
オリバー殿が心配そうに私を見つめる。
『あの時』のことを思い出す。
私を見下ろし、小馬鹿に笑う彼女の顔を。
絵の少女は…




