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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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精一杯のお断りをお伝えしたつもりだ。


「クレア、私のことを好きになってくれる可能性は全くないのか?可能性が0%であることが変わりないと言い切れるだろうか?」


難しいことを聞かれる。

そんなことは神様にしかわからないのでないか?

今の可能性の話では神様でもわからないかもしれない。


「わかりません。私はそもそも恋愛的な意味での『好き』がわかりません。友人などへの『好き』はわかるようになりました。食べ物や、花や、物への『好き』も。しかし、愛についてはわかりません。今後の可能性についても、今のところではわかりませんとしかお答えできません。」


素直に思ったことを述べる。


「ではクレアと私が今後同じ時間を共有することによって、少しでも私のことを今とは違う感情を抱く可能性はあるのだな。それが良くも悪くも。私がしつこくて嫌いになるという可能性ももちろん否めないが、私を知ることで私を憎からず思ってくれるという期待を捨てられない。」


それはたしかにそうだが。


「今のところでは私は殿下にご恩しかありません。そんな恩人ではありますが、やはり恋愛感情に変わるのかはなんとも言えないと思います。可能性だけの話ならば。でも可能性なら殿下もこの先私以外のどなたかを想われる可能性もごいましょう?」


逆に返してみた。

その可能性だって誰にもわからないではないか。


「無いな。その可能性は0だ。私にはクレアしかいない。」


即答だった。当然というお顔で。


「なぜそう言い切れるのですか?国内の有力な貴族のご令嬢は、幼少期よりお妃候補としてそういった教育を施され、努力されています。またそのご実家の後ろ盾などもございますし、美しく聡明な方々ばかりであると伺っております。」


そんな素敵なご令嬢がたくさんいらっしゃるのに、ご縁談ももちろんあるだろう。

なにかの際に運命の出会いがあるかもしれない。


「今まで私は沢山の縁談や、そういった目論見のあるパーティーなどでの出会いがあった。もちろん皆文句なしの才色兼備なご令嬢ばかりだ。しかし、誰か1人が頭から離れずに、その人に何かしたいとずっと考えてしまうような方は居なかった。クレアだけが私を捕らえたのだ。私が誰にでもこうして話し、時には胸を貸すと思っているか?私がクレアともっと過ごしたい、触れ合いたいと望んでいるからこうしているのだ。誰かをもっと知りたいと思うのも、誰かをずっと気にかけるのも、誰かのために何かをしようと思うのも、そなたが初めてだ。従って、この先もクレア以外に心が動くことは無い。断言する。」


そこまで言い切れるものなのだろうか。

まだ国内すべてのご令嬢と出会ったわけでも無いでしょうに。

お気持ちは素直に嬉しいが、かといって私も殿下と同じ気持ちになる可能性などは断言できない。


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