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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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あとは、父と交流のあったという方々が数名話しかけてくださった。


その中でも、王都にいらっしゃる国防大臣のセドリック・スペンサー公爵とのお話が印象的だった。


セドリック様は現国王陛下の第5王子でいらっしゃり、お母様の身分も、爵位もない末端貴族ということで幼少期より誰からも期待されず、お寂しい生活を送っていらっしゃった。

元々かなり能力の高いセドリック様は、現国王陛下が王太子時代に王位継承権が第2位になった折、政治的に混乱を招くことを恐れて王位継承権を放棄し、臣下へ降られる際に公爵位を賜わったそうだ。

姓は母君のご実家の姓だそうだ。

第5王子で王位継承権も第5位であるころは、母君の身分などから注目もされず、冷たくあしらわれていたそうだ。

そんな中、王立学院に入学した7歳になる頃父と出会い、誰とも分け隔てなく接する父と学友となり、卒業する18歳まで竹馬の友という程の親友であったそうだ。

卒業後も交流を続け、セドリック様が王位継承権を放棄する頃に父もゴールドガーデン領主となったそうだ。


父と親友であったこと以外はエレナに教えてもらっていた。


「本当はアーノルドの訃報を受けた時、私の養女に迎えようとオズワルド殿に打診したのだが、『クレアは姪なのだから私たちで面倒を見る』と断られてな。何度か相談したのだが、ダメだった。君が幸せであることを願っていたが、まさか虐げられていようとはな。幼い頃の私を重ねてしまったよ。私も居ない者として扱われてきたからな。何も出来ずにすまなかった。しかし、君がゴールドガーデン領主となり、ゴールドガーデンが発展しつつあることを考えると、何が君にとって最善であるのか何とも言えないな。甥が迷惑をかけて申し訳ないな。甥のことに限らず、私にできることは何でも言ってくれ。今更と思うかもしれないが、私は君の父上同様、君の幸せを心から願っているよ。君が同意してくれれば養女にしたい気持ちは今でもあるくらいだ。後見人として君を手伝うくらいはできるよ。」


ある程度近くにいる人たちを人払いをして、窓辺でそのようにお話を聞かせてくださった。


穏やかで、優しくて、おそらく父が存命ならセドリック様のようなのだろうなと感じるほど、信用して頼っても良い方だと感じた。


セドリック様は国防大臣職を務められるのは、貴族としての地位というわけではない。

実は、国1番の剣士であらせられる。

そんな武人であることすら忘れるほどの優しい瞳に、これからもっと交流を深めさせて頂きたいと思う。

父の話を聞きたい。

私の知らない父をたくさん教えて頂きたいと思う。

私がそれを伝えると、快く承諾してくださった。


「もちろん、いつでも歓迎するよ。お茶会でもしながら語り合おう。でも私はお茶会なんて慣れてないから、女子の好みなんてわからないけどね。私が君とこうして話しているのを何とも言えない顔で見てる奴がいるね。」


そんな風に笑いながら。

マーティン殿下が遠くからこちらを見つめている。

陛下にたしなめられてから私の近くに来ることができないようだ。


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