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静寂と沈黙の彼方の喧騒  作者: あい。
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とうとうこの日がきた。

我がディアス家が伯爵家へ戻ることができる。

草葉の陰から両親も喜んでいるだろうか。

私のことを誇ってくれるだろうか。


これがゴールではない。

スタートなのだ。

何ならようやく父の代のラインに並んだくらいだからやっと追いついたのか。


エレナと私、テッドとクエンティン殿で馬車に乗り、それぞれに護衛が付いている。

ゴールドガーデンはオリバー殿に留守を任せている。


パーティーに来られる貴族の家柄や役職などをエレナと復習する。

ご挨拶対策だ。

どのような方々へも礼を尽くすのはもちろんだが、どなたがどのような方かわかっている方が会話も弾み、コネクションを広げるためにも重要だ。


ある程度復習を終えると、緊張をほぐす意味でも世間話に花が咲く。


「王都ではパーティーの際に頭を覆うような花を模したアクセサリーを髪飾りにするのが流行っているそうよ。クレアには実用性を重視して流行のものとは違う髪飾りにしてしまったのよね。藤の花が風で揺れ動くようなイメージで下りの飾りにしたの。流行に遅れてるとバカにされなければ良いのだけど。」


心配そうにエレナが言う。

全くイメージができない流行のそれは、果たしてどのようなものなのだろうか。


「帽子みたいな感じなのかしら?それともかなり大きなコサージュみないなものなのかしら?落としてしまわないかハラハラして集中できなさそうね。」


素直に疑問をつぶやく。


「生花をコサージュにして髪飾りにする方もいらっしゃるみたい。オーガンジーや宝石を使ってコサージュにしたり。頭部全体を覆うような大きなものから、半分くらい隠れるくらいのものまであるようよ。パーティーではほとんどのご令嬢がそんな髪型だと思うわ。ほとんどどころか全員かもしれないわ。」


そんな邪魔なものをみんなつけてご挨拶したり、踊ったりするのか。


「さぞかし動きにくそうだけれど。なんでほぼ皆様そのような髪型になさるのかしら?そんなに流行って大事なの?」


流行の変化などついていくのが大変だろうが、まずもってなぜそんな実用性のない無駄を好むのだろう。

華美であることを好む貴族ご令嬢たちらしいが。


「通常の貴族のご令嬢というのは社交界での家柄をカバーするために流行を取り入れた豪華な装いをするのです。家柄が低くとも、流行に乗った豪華な装いをしていると、社交界では一目置かれます。逆に流行に遅れていたり質素な装いでは、田舎者と思われたり、格下としてみなされてしまうのです。」


何というか、無駄が好きなのだな。

いくらお金をかけても、流行が廃れたら使われないのか?


「なんか社交界って無駄の塊ね。自分に似合って、動きやすいものならそれが最上でしょうに。その点私の装いはエレナが私に最も似合うもので動きやすいものにしてくれているから問題ないわ。そんな大きな飾りを身につけたら踊ることなんてできないもの。私、流行がどうとか文句を言わせないわ。エレナにも、ドレスやアクセサリーを仕立ててくれた職人さんたちにも誇れる立ち居振舞いをするわ。くだらない批判なんて受け入れない。」


文句をつけたい人はどんな小さなことへも批判的だから。いくら私に似合っていようと、私の立ち居振舞いをが完璧でも、流行に遅れているなどと批判するのだろう。


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