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中々優秀な方のようだ。
他にも数人女性の受験者もいたが、1番印象に残った女性であった。
なんとか全員の面接が終わり、採点に入る。
筆記と合わせて各得点がどのくらいか、平均点はどのくらいかなどを求めた。
受験者たちも帰宅し、また合格発表時に配属先を発表する旨を説明した。
皆で話し合い、今回採用するのは112人の受験者に対し、予定通りの58人という結論になった。
約半数となるが、志があり、優秀な人材はまた次回も受験してくれるだろう。
あとは担当する部署を決める。
配属先がここという希望のある者もいたが、そうでない者はこちらで決める。
予定通りの人数で振り分けると、試験についてはこれでひと段落だ。
私の気になっていた2人は無事合格している。
また会えるのも、今後の働きぶりも楽しみである。
もうすぐ日が暮れるという時間になり、オリバー殿とテッドの部屋で3人で今日の報告がてら夕食を取ると皆に伝え、解散した。
いよいよ私は、婚約破棄されるのだ。
夕食の時間まで自室でぼんやりと過ごしていた。
エレナが来て、帰りの挨拶をされたけど、ぼんやりとしていると大層心配された。
「ただ疲れただけよ。心配してくれてありがとう。また明日ね」
私がそう言うと、心配しながらもエレナも帰る。
地平線に沈む夕日を見ながら、私の気持ちも沈んでいった。
段々と夜の闇に包まれると、私の心も暗くなっていく。
夕食の声がかかり、テッドの部屋へ行くと、照明が部屋を明るく照らし、テッドやオリバー殿の顔がよく見える。
きっと私の情けない顔もよく見えるはずだ。
もっと暗ければ良かったのに。
「テッド、久しぶりね。お加減はいかが?」
声をかけると、テッドはいくらか前より表情が明るかった。
もしかしたらこのまま時間が経過すれば私たちの関係も元に戻るのではないかと期待してしまう。
「痛みが大分取れたから、食事も取れるようになって来ました。まだ起き上がるのはつらいけれど。」
少しは苦痛が緩和されているのなら良かった。
オリバー殿も声をかける。
「テッド、今日は随分と顔色が良いように見えるな。この調子なら予定通り復帰できるかもしれないな。」
ガハハと笑うオリバー殿とは対照的に、テッドは真顔に戻る。
「父さん、僕は復帰しない。クレア様との婚約を解消して、僕は出て行く。色々考えたんだよ。それが1番良い結論だ。クレア様はここに必要なお方です。あなたが居ないゴールドガーデンはまた混乱を招くでしょう。あなたはこのままゴールドガーデンを治めてください。私はあなたの側にはいられません。」
テッドの決意は堅そうだ。
「わたく…しは…本来ならばゴールドガーデンの領主にはなり得ませんでした。クーデターがあったからこそ領主に担ぎ上げられたまで。オリバー殿たちが居てくださるからここまで何とかやってこられたのです。婚姻を結ばぬのならあなたが領主としてゴールドガーデンを治めて行くのが道理です。これからは兄妹としてディアス家に養子に入っては頂けませんか?そして領主としてあなたが治るのです。私はエレナとハーブ園をやっていきます。ビオラ村で。だから私の今後の身の振り方は問題ないのです!あなたはこのままここに居てください!」




