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「ではエレナの案をフルに採用して、計画の草案を提出するわ。承認されたら土地を確保して、部署の運営が開始になったら早速事業に取り組んでもらいましょう。だからまぁ移転は早くとも1ヶ月はかかりそうね。温室作りがどのくらいでできるのかにもよるわね。あとは水を引くのと。」
さっき作成した計画書をエレナへ渡す。
「広さや人員もこれで良いと思うわ。次の会議が楽しみね。でも試験が終わってからだし、3週間くらい先になるのかしら。」
エレナも楽しそうに話す。
「城とハーブ園の往復は大変じゃない?何なら勤務時間や城の仕事の日とハーブ園の仕事の日に分ける?」
15分馬で移動するのは大変なことだ。
そう提案してみたが、
「あ、私実は馬に乗るの得意なのよ。15分くらい何でもないわ。その代わり夜は夕方から直帰ってことで夕食を運ぶのは誰かに任せなければならないけど。朝もそうね。城に着く頃にはブランチになっちゃうわ。」
「私の食事なんて気にしないでよ。何なら自分で運んだって良いんだから。」
思わず2人で笑ってしまう。
1日に1時間(朝夕の往復)も馬に乗るなんてかなりハードだ。
「エレナ、本格的にハーブ園の事業が拡大していったら忙しくなって、栽培だけでなく加工や販売とかも管理が必要になるわ。ゆくゆくはエレナはハーブ園の近くに家を構えて、そこを拠点に仕事をしていくほうが現実的だと思うわ。まだ今は良いけど。地元でもないところに1人で来てもらってるのにこんなことを言うのも何なんだけどね。」
いずれそうすることになるが、その頃には私も領主でなくなっているかもしれないから。
その時はエレナと気ままにハーブ園を運営していく。
「そうね。離れてても私はクレアのことを支えているってことに変わりはないわ。むしろそんなに待遇を良くしてくれるなんてありがたいわよ。それに私にハーブ園での色々な権限を与えてくれるなんて。週一でも、月一でも、報告に会いに来るわよ。王都に居た頃の方が会えなかったのだから、そうなっても対して問題ないわよ。」
楽しくこれからの未来を語りあい、エレナが戻っていく。
殿下への手紙を預け、『また明日』とあいさつをして。
『また明日』はいつまで続けられるのかなんて心配よりも、今こうして楽しく幸せな日々を送り、また明日と言えることに感謝しよう。
こうして怒涛の数日を過ごし、とうとう公務員採用試験の当日を迎える。
皆でじっくりと話し合い、準備して来た。
これが終わればあとは議会の選挙を計画していく。
他は部署ごとにそれぞれ運用を計画し、事業に取り組んでいくこととなる。
もう一つ、私とテッドの婚約破棄については早急に対応せねばならない事案だが。
今晩テッドとオリバー殿と私とで話し合うのだ。
テッドの部屋で。
伯爵位は1ヶ月後に王城にて爵位授与式を執り行う旨の通知が届いた。その夜パーティーがあるそうだ。
テッドは元々怪我のため城へは上がれないと伝えてあったため、オリバー殿と行くこととしている。




